相続税の電子申告が始まります
リエ「確定申告も電子申告が行えるようになって、確定申告書の提出が楽にできるようになりましたよね。確定申告時期の税務署は、申告書の提出を行うためにすごく混雑していましたからね。」
黒田「確定申告書の提出を行うために1時間以上並ぶなんてこともありましたね。」
リエ「もう全ての税目を電子申告できるようになっているのでしょうか。」
黒田「電子申告できる税目は、法人税、地方法人税、消費税、復興特別法人税、酒税、印紙税、所得税、復興特別所得税、贈与税となります。」
リエ「相続税は電子申告が行えないのでしょうか。」
黒田「相続税は、2019年10月より電子申告が開始される予定となっています。他の税目と違い、添付書類の多さや相続人が連名で申告書を提出することになるため、対応が難しかったのかもしれません。なお、2019年1月1日以降に発生した相続が対象となります。」
リエ「電子申告で申告書の提出を行えば、紙で書類を提出しなくてもよくなるのですね。」
黒田「そうとは限りません。法人税や所得税と異なり、遺産分割協議書や印鑑証明書等、相続税の申告には様々な添付書類の提出が必要になります。現在、発表されている内容ですと※基本的な21種類の帳票の提出が電子申告可能とされています。添付書類に関しては、PDFファイルにて送信可能とされていますが、全ての添付書類がPDFファイルで送信申告可能となるのかは不明確です。また、非上場株式及び農地の納税猶予制度については電子申告を行うことができないとされています。」
リエ「法人税の電子申告が始まった頃もそうでしたが、紙で提出しなければならない書類が多いのであれば、全て紙で印刷して申告書の提出を行った方が1度で済みますので利用を考えてしまいますね。添付書類の多い相続税の申告書をデータで管理できるようになるというメリットも捨てがたいですけど。」
黒田「相続人等が遠隔地にいて書類のやり取りが困難な場合にも電子申告が行えると楽になるかと思います。作成した電子申告のデータをメール等で共有し、確定申告書の提出と同様に相続人各々が送信する申告書に電子署名を行います。その際、正確にデータが送信されたか各人で確認を行ってください。」
リエ「セキュリティ面での不安を感じることもありますが、全ての添付書類が電子申告で送信可能になれば、利便性は非常に高くなりますね。」
※電子申告で送信可能な21帳票
第1表、第1表(続)、第1表の付表2(還付される税額の受取場所)、第2表(相続税の総額の計算書)、第4表(相続税額の加算金額の計算書)、第4表の2、第5表(配偶者の税額軽減額の計算書)、第6表(未成年者控除額、障碍者控除額の計算書)、第7表、第8表、第9表(生命保険金などの明細書)、第10表(退職手当金などの明細書)、第11表(相続税がかかる財産の明細書)、第11表の2表、第11・11の2表の付表1、第11・11の2表の付表1(続)、第11・11の2表の付表1(別表)、第13表(債務及び葬式費用の明細書)、第14表、第15表(相続財産の種類別価額表)、第15表(続)