「値決め」と「値上げ」
名経営者である稲盛和夫氏の金言に「値決めは経営」という言葉があります。
この言葉には多くの所長先生も共感されるのではないでしょうか。
ただ、お客様が順調に成長され、自事務所の業務負担量が年々増加したため、
契約時に決めた報酬が適正報酬ではなくなる場合もあるでしょう。
もちろん、所内で業務効率化を図る必要がありますが、どうしてもお客様に
「値上げ」をお願いしなければならないケースもあるかと思います。
しかし、値上げ交渉は「できればやりたくない」と思う方がほとんどです。
値上げに対して難色を見せるお客様も少なくないと思います。
「値決め」と「値上げ」、どちらも事務所経営に直結する最重要ポイントです。
そんな中、「値決め」と「値上げ」に関して独自の工夫をされている
先生にお会いしました。
まず、「値決め」ですが、この先生は提供サービスごとに値決めをされています。
この提供サービスの組み合わせで、松竹梅のように3つのパッケージを用意されて
います。
「3つの選択肢」という部分がポイントで、
「人は複数の選択肢がある場合、真ん中を選ぶ傾向にある」という特性を鑑み、
竹(=真ん中)に事務所として1番売り出したいパッケージを据えているとのこと
でした。
(この傾向は、行動経済学では「極端性の回避」と呼ばれています)
実際に、多くのお客様が竹のパッケージを選択されるそうです。
そして、「値上げ」ですが、顧問契約時の契約書に毎年の顧問料改定を
盛り込んでいらっしゃいます。いずれのパッケージを選択しても、
契約初年度は一律料金、次年度以降は実績ベース(売上高、業務負担量等)で
報酬が決まる仕組みだそうです。この仕組みを導入したことで、
スムーズな値上げが可能になったとのことでした。
新サービスの値決めや、報酬の見直しの際にご参考いただければと思います。