区分記載請求書等保存方式とはどのようなものですか?
リエ「黒田さん、10月から消費税率が8%から10%になりますが、その際に適用される区分記載請求書等保存方式ってなんですか。」
黒田「お、リエちゃん、勉強していますね。では、簡単に説明します。」
リエ「よろしくお願いします。」
黒田「現行、仕入税額控除については一定の帳簿及び請求書等の保存が要件(請求書等保存方式)となっていますが、令和元年10月1日から令和5年9月30日までの間は、この仕入税額控除の要件について、現行制度の請求書等保存方式を基本的に維持しつつ、軽減税率(8%)の適用対象となる課税仕入(軽減対象資産の譲渡等)に該当するか否かの区分を明確にするための事項を追加した帳簿及び請求書等の保存が要件とされることになります。これが区分記載請求書等保存方式です。」
リエ「軽減税率制度が導入されると、経理上、軽減税率(8%)と標準税率(10%)の複数税率を区分して処理する必要があるから、帳簿等の書類でも区分をわかり易くしないといけないわけですね。」
黒田「そうですね。」
リエ「それで、どのような事項を記載することになるんですか。」
黒田「はい、順にご説明しますね。最初に帳簿の記載事項は次の通りになります。」
〈帳簿の記載事項〉
1)課税仕入れの相手方の氏名又は名称
2)取引年月日
3)取引の内容
4)対価の額
5)軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨
(※1)現行制度の記載事項1)から4)に加えて、5)が区分記載請求書等保存方式で追加になる記載事項
黒田「ただ、区分記載請求書等保存方式の下でも、3万円未満の少額な取引等で請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない事情があるときは、現行の請求書等保存方式と同じく、必要な事項を記載した帳簿の保存のみで、仕入税額控除の要件を満たすことになります。では、次に区分記載請求書等の記載事項は次の通りです。」
〈区分記載請求書等の記載事項〉
1)請求書発行者の氏名又は名称
2)取引年月日
3)取引の内容
4)対価の額
5)請求書受領者の氏名又は名称
6)軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨
7)税率ごとに区分して合計した税込対価の額
(※2)現行制度の記載事項1)から5)に加えて、6)、7)が区分記載請求書等保存方式で追加になる記載事項
黒田「もし、仕入先から交付を受けた請求書等に6、7の記載がないときは、交付を受けた事業者自らが、その取引事実に基づき追記が認められています。」
リエ「よくわかりました。黒田さん、いつもありがとうございます。」
黒田「いえいえ、また何なりと聞いてください。」