青色事業専従者給与の特例と事業専従者控除の特例
リエ「黒田さんちょっとよろしいでしょうか。」
黒田「もちろんです。どうしました?」
リエ「個人事業を営む友人がいるのですが、生計を一にしている配偶者やその他の親族が事業に従事している場合、それらの人に支払う給与は必要経費として認められますよね?」
黒田「そうですね。ただリエちゃんが言った事業に従事していること以外にも要件があり、事業主が青色申告者なのか白色申告者なのかで控除額等も変わってきます。リエちゃんが言った要件に加えて従事している方が12月31日現在で年齢が15歳以上であることと、その年を通じて6ヵ月を超える期間その事業に専ら従事していることが青色と白色に共通する要件です。また事業主が青色申告者である場合、『青色事業専従者給与に関する届出書』を一定の期限(原則その年の3月15日)までに納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。そして届出書に記載されている金額の範囲内で記載されている方法により支払われたものであり、労務の対価として認められる金額であれば、青色事業専従者給与の特例が受けられ、その全額を控除することができます。」
リエ「なるほど。白色申告者の場合はどうなりますか?」
黒田「白色申告の場合は共通の要件に加えて、確定申告書に控除を受ける旨やその金額など記載すれば事業専従者控除の特例を受けることができます。ただ実際の支給額に関係なく専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円という控除額が原則であり、これらを控除する前の事業所得の金額を専従者の数に1を足した数で割った金額の方が、86万円又は50万円より低い場合は低いほうの金額が控除額になります。ちなみに、これらの特例を受けている場合はその方に関しての配偶者控除や配偶者特別控除、扶養控除などは使うことができません。」
リエ「併用ができないってことですか? じゃあもし、今まで配偶者を青色事業専従者として給与を支払っていてその額を毎年控除していたのが、業績が悪くなりその年は給与を支払わなかった場合、青色事業専従者給与の特例で控除できる額は0になると思いますが、このときの配偶者控除等はどうなりますか?」
黒田「青色事業専従者であっても給与の支払いがなければ配偶者控除等は使うことができます。併用ができないのはあくまで青色事業専従者として給与の支払いを受ける人ですので、支払いがなければ配偶者控除等を使っても問題はないです。」
リエ「なるほど、よくわかりました。ありがとうございます!」