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仮想通貨に関する法人税の取扱い

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リエ「黒田さん、仮想通貨について法人税の取扱いが定められたと聞きましたが、どのような取扱いになったんでしょうか。」

黒田「はい。平成31年度の税制改正において、仮想通貨に関する法人税の取扱いが示されました。まず、仮想通貨の期末評価ですが、法人が事業年度末に保有する仮想通貨のうち、活発な市場が存在する仮想通貨については時価法により評価した金額とし、評価損益を計上することとされました。」

リエ「活発な市場とは、どのようなものをいうのでしょうか。」

黒田「現時点で法人税法における活発な市場の定義については言及されていませんが、企業会計基準委員会が公表している資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱いにおいて、活発な市場が存在する場合とは、継続的に価格情報が提供される程度に仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所において十分な数量及び頻度で取引が行われている場合をいうとされており、法人税法上もこの会計上の取扱いを参照することが予想されます。したがって、保有する仮想通貨の種類ごとに、売買・換金について十分な流動性を有しているかなど、仮想通貨の種類や取引実績、取引されている仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所の状況等からみて、活発な市場が存在する仮想通貨かどうかを判断する必要があると考えられます。また、活発な市場が存在する仮想通貨の期末評価において用いる市場価格は、保有する仮想通貨の種類ごとに、通常使用する自己の取引実績の最も大きい仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所における取引価格を用いることとなります。」

リエ「なるほど。仮想通貨の種類によっては仮想通貨取引所などで取り扱われていても、活発な市場が存在する仮想通貨とはいえない可能性があるんですね。」

黒田「そうですね。仮想通貨は2000種類以上あるといわれており、取引量が少なく、売買・換金が制限されているような流動性の低い仮想通貨もありますので、そのような仮想通貨は活発な市場があるとはいえない可能性があります。」

リエ「活発な市場が存在しない仮想通貨はどのように評価するんですか。」

黒田「活発な市場が存在しない仮想通貨は原価法により評価した金額となります。したがって、仮想通貨は取得価額で計上することとなります。次に仮想通貨を譲渡した場合の譲渡損益については、譲渡損益の計上時期をその譲渡に係る契約をした日の属する事業年度に計上することとし、譲渡原価を計算する場合における1単位当たりの帳簿価額の算出方法は、移動平均法による原価法又は総平均法による原価法のいずれかの方法により、法定算出方法は移動平均法による原価法とされました。その他、事業年度末に有する未決済の仮想通貨の信用取引等については、事業年度末に決済したものとみなして計算した損益相当額を計上することとなります。」

リエ「なるほど。この仮想通貨の取扱いはいつから適用されるんでしょうか。」

黒田「平成31年4月1日以後に終了する事業年度から適用されます。ただし、経過措置として、平成31年4月1日前に開始し同日以後に終了する事業年度については、会計上、仮想通貨につき時価評価していない場合に限り、仮想通貨の時価評価及び信用取引等に係るみなし決済を適用しないことができます。」

リエ「わかりました。ありがとうございました。」



監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「黒田さん、仮想通貨について法人税の取扱いが定められたと聞きましたが、どのような取扱いになったんでしょうか。」黒田「はい。平成31年度の税制改正において、仮想通貨に関する法人税の取扱いが示されました。まず、仮想通貨の期末評価ですが、法人が事業年度末に保有する仮想通貨のうち、活発な市場が存在する仮想通貨については時価法により評価した金額とし、評価損益を計上することとされました。」リエ「活発な市場とは、どのようなものをいうのでしょうか。」黒田「現時点で法人税法における活発な市場の定義については言及されていませんが、企業会計基準委員会が公表している資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱いにおいて、活発な市場が存在する場合とは、継続的に価格情報が提供される程度に仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所において十分な数量及び頻度で取引が行われている場合をいうとされており、法人税法上もこの会計上の取扱いを参照することが予想されます。したがって、保有する仮想通貨の種類ごとに、売買・換金について十分な流動性を有しているかなど、仮想通貨の種類や取引実績、取引されている仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所の状況等からみて、活発な市場が存在する仮想通貨かどうかを判断する必要があると考えられます。また、活発な市場が存在する仮想通貨の期末評価において用いる市場価格は、保有する仮想通貨の種類ごとに、通常使用する自己の取引実績の最も大きい仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所における取引価格を用いることとなります。」リエ「なるほど。仮想通貨の種類によっては仮想通貨取引所などで取り扱われていても、活発な市場が存在する仮想通貨とはいえない可能性があるんですね。」黒田「そうですね。仮想通貨は2000種類以上あるといわれており、取引量が少なく、売買・換金が制限されているような流動性の低い仮想通貨もありますので、そのような仮想通貨は活発な市場があるとはいえない可能性があります。」リエ「活発な市場が存在しない仮想通貨はどのように評価するんですか。」黒田「活発な市場が存在しない仮想通貨は原価法により評価した金額となります。したがって、仮想通貨は取得価額で計上することとなります。次に仮想通貨を譲渡した場合の譲渡損益については、譲渡損益の計上時期をその譲渡に係る契約をした日の属する事業年度に計上することとし、譲渡原価を計算する場合における1単位当たりの帳簿価額の算出方法は、移動平均法による原価法又は総平均法による原価法のいずれかの方法により、法定算出方法は移動平均法による原価法とされました。その他、事業年度末に有する未決済の仮想通貨の信用取引等については、事業年度末に決済したものとみなして計算した損益相当額を計上することとなります。」リエ「なるほど。この仮想通貨の取扱いはいつから適用されるんでしょうか。」黒田「平成31年4月1日以後に終了する事業年度から適用されます。ただし、経過措置として、平成31年4月1日前に開始し同日以後に終了する事業年度については、会計上、仮想通貨につき時価評価していない場合に限り、仮想通貨の時価評価及び信用取引等に係るみなし決済を適用しないことができます。」リエ「わかりました。ありがとうございました。」
2019.04.22 16:08:08