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教えてください、特定のマイホームを買換えたときの特例

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リエ「黒田さんこんにちは、今月の監査は終わりましたか?」

黒田「リエちゃんこんにちは、終わりましたよ。今日は暖かいですね。」

リエ「すっかり春ですね。そうそう、私の親戚がマイホームを売りたいと言っていたのですが、そこのマンションは買った時よりも値上がりして、税金が高くなったらどうしようと心配していたので、税金が安くなる方法があったら教えてください。」

黒田「高く売却できることに越したことはないのですが、譲渡益がたくさん出るということは、税金も多く払わなくてはなりませんからね。お金は少しでも手元に残しておきたいですよね。」

リエ「そうなんですよね、マイホームを買い換えて、インテリアも新しくしたいじゃないですか、出費が多くなりますよね。」

黒田「マイホームを売却したときはいくつか特例がありますが、どの特例が最適なのかはそれぞれの個別事情によって異なります。」

リエ「そうなんですね。」

黒田「売却して損したか、得したかでも違ってきますしね。」

リエ「得をしそうなので、得したときの特例を教えてください。」

黒田「そうですね、マイホームを売却して得をした場合によく使われる特例は、『居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例』ですね。」

リエ「あっ、マイホームを譲渡したときに譲渡益から3000万円控除してくれる特例ですね! 聞いたことがあります。」

黒田「そうです。あとは『特定の居住用財産の買換えの特例』いわゆる『買換え特例』です。」

リエ「どういった特例ですか?」

黒田「特定のマイホームを、2019年12月31日までに売って、代わりのマイホームに買い換えたときは、一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます。例えば、2000万円で購入したマイホームを6000万円で売却して新しいマイホームを7000万円で購入した場合、4000万円の譲渡益が出ますが、買換え特例の適用を受けた場合は売却した年分で譲渡益の課税は行われません。」

リエ「4000万円の譲渡益がなくなるということは、先ほどの3000万円の特別控除よりも減税効果が大きいですね。」

黒田「その代わり、その7000万円で購入したマイホームを8000万円で売却した場合、譲渡益は1000万円ではなく、買換え特例の適用を受けて課税が繰り延べられていた4000万円の譲渡益を加えた5000万円になります。」

リエ「なるほど、それが繰り延べるということなんですね。」

黒田「そうです。それに譲渡益の全額を繰り延べるには、新しいマイホームは売却額以上のものでなくてはなりません。新しいマイホームの値段が売却額よりも安い場合は、その差額が大きければ大きいほど繰り延べられる金額が少なくなりますので、3000万円の特別控除よりも減税効果が小さくなることもあります。」

リエ「適用要件はどのようなものがありますか。」

黒田「まずは売却するマイホームは自分が住んでいる、若しくは住まなくなってから3年以内(その住宅に住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日まで)の家屋とその敷地であること、売却した年の1月1日において、家屋や敷地等の所有期間が共に10年超であること、居住期間が通算して10年以上であることなどです。次に新しいマイホームは、売却の前年から翌年までの3年間の間に購入すること。土地面積は500平方メートル以下、かつ建物の床面積は50平方メートル以上(登記簿面積)であることなどです。その他としましては、配偶者や親族への譲渡ではないことなど、適用要件はたくさんありますので、本当にこの特例を使うときは税理士に相談してください。そうそうこの特例を使うときは先ほど話に出ました3000万円控除は使えませんよ。」

リエ「特例ってややこしいですね。」

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「黒田さんこんにちは、今月の監査は終わりましたか?」黒田「リエちゃんこんにちは、終わりましたよ。今日は暖かいですね。」リエ「すっかり春ですね。そうそう、私の親戚がマイホームを売りたいと言っていたのですが、そこのマンションは買った時よりも値上がりして、税金が高くなったらどうしようと心配していたので、税金が安くなる方法があったら教えてください。」黒田「高く売却できることに越したことはないのですが、譲渡益がたくさん出るということは、税金も多く払わなくてはなりませんからね。お金は少しでも手元に残しておきたいですよね。」リエ「そうなんですよね、マイホームを買い換えて、インテリアも新しくしたいじゃないですか、出費が多くなりますよね。」黒田「マイホームを売却したときはいくつか特例がありますが、どの特例が最適なのかはそれぞれの個別事情によって異なります。」リエ「そうなんですね。」黒田「売却して損したか、得したかでも違ってきますしね。」リエ「得をしそうなので、得したときの特例を教えてください。」黒田「そうですね、マイホームを売却して得をした場合によく使われる特例は、『居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例』ですね。」リエ「あっ、マイホームを譲渡したときに譲渡益から3000万円控除してくれる特例ですね! 聞いたことがあります。」黒田「そうです。あとは『特定の居住用財産の買換えの特例』いわゆる『買換え特例』です。」リエ「どういった特例ですか?」黒田「特定のマイホームを、2019年12月31日までに売って、代わりのマイホームに買い換えたときは、一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます。例えば、2000万円で購入したマイホームを6000万円で売却して新しいマイホームを7000万円で購入した場合、4000万円の譲渡益が出ますが、買換え特例の適用を受けた場合は売却した年分で譲渡益の課税は行われません。」リエ「4000万円の譲渡益がなくなるということは、先ほどの3000万円の特別控除よりも減税効果が大きいですね。」黒田「その代わり、その7000万円で購入したマイホームを8000万円で売却した場合、譲渡益は1000万円ではなく、買換え特例の適用を受けて課税が繰り延べられていた4000万円の譲渡益を加えた5000万円になります。」リエ「なるほど、それが繰り延べるということなんですね。」黒田「そうです。それに譲渡益の全額を繰り延べるには、新しいマイホームは売却額以上のものでなくてはなりません。新しいマイホームの値段が売却額よりも安い場合は、その差額が大きければ大きいほど繰り延べられる金額が少なくなりますので、3000万円の特別控除よりも減税効果が小さくなることもあります。」リエ「適用要件はどのようなものがありますか。」黒田「まずは売却するマイホームは自分が住んでいる、若しくは住まなくなってから3年以内(その住宅に住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日まで)の家屋とその敷地であること、売却した年の1月1日において、家屋や敷地等の所有期間が共に10年超であること、居住期間が通算して10年以上であることなどです。次に新しいマイホームは、売却の前年から翌年までの3年間の間に購入すること。土地面積は500平方メートル以下、かつ建物の床面積は50平方メートル以上(登記簿面積)であることなどです。その他としましては、配偶者や親族への譲渡ではないことなど、適用要件はたくさんありますので、本当にこの特例を使うときは税理士に相談してください。そうそうこの特例を使うときは先ほど話に出ました3000万円控除は使えませんよ。」リエ「特例ってややこしいですね。」
2019.04.08 16:31:30