賃貸アパートの壁を塗装した場合の処理
リエ「黒田さん、こんにちは。賃貸アパートの壁を塗装した場合の処理についてお伺いしたいのですが。」
黒田「もちろんです。」
リエ「不動産賃貸業を営む叔母が所有している物件なのですが、築年数も古くなり、壁の塗装が剥がれてきたため、昨年に壁面の塗装工事を行いました。塗料は、従前と同じ品質のものです。塗装工事にかかった費用は、300万円ほどなのですが、全額必要経費に算入してもよいでしょうか?」
黒田「はい。塗装工事に伴って、建物の使用期間が延長したり、建物の価値を増加させる部分のいわゆる資本的支出に相当する部分がない限り、300万円全額が必要経費に算入されるものと考えられます。」
リエ「そうなのですか。」
黒田「はい。資本的支出と修繕費との区分ですが、一般的にはまず、資本的支出に該当する部分があるか否かの判断を行います。これに該当しなければ、すべて修繕費として処理して問題ないでしょう。資本的支出の範囲ですが、通常の管理又は修理するものとした場合に予測される『使用可能期間を延長させる部分』又は『資産の価額を増加させる部分』が資本的支出であると、所得税法施行令181条に記載されています。」
リエ「金額の多寡は問題にならないのでしょうか?」
黒田「はい。資本的支出の判断に当たっては、その金額の大小を基準とはしません。あくまでも、その修繕内容の実質で判断をすることになります。塗装工事に鑑みれば、壁面面積が増えるほど金額も大きくなるのは、当然です。金額をもって、判断すると逆に不合理となります。」
リエ「ありがとうございました。さっそく叔母に教えてあげたいと思います。」