先物取引に係る損失の繰越控除
旭課長「黒田さん、内緒で相談事があるのですが…。」
黒田「旭課長! どうされたのですか?」
旭課長「実は、昨年から女房に内緒で先物取引をしているのですが、昨年は損失が大きく税金もかからないと思い確定申告もしないでほったらかしにしていたんですよ。ですが今年は利益が出そうなので確定申告をしなければと思っていますが、先物取引の損失も繰越控除ができるというのは本当ですか?」
黒田「そうなんですか。まずは儲かってなによりですね。先物取引の差金等決済に係る損失は一定の方法により3年間にわたり繰越できますよ。」
旭課長「やはり、できるのですね!」
黒田「手続きとしては、先物取引の差金等決済に係る損失の金額が生じた年分の所得税につき、当該事項を記載した所得税の申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)及び先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書を添付した確定申告書を提出することとなっていますね。その後も連続して上記の申告書付表を添付した確定申告書を提出すること。この繰越控除を受けようとする年分の所得税につき、先の申告書付表及び計算明細書を添付した確定申告書を提出することとなっています。」
旭課長「あぁ、ということはやっぱり私は損失の繰越控除が適用できないということですか?」
黒田「いえ、そういうわけではありません。確認しますが、旭課長は申告自体されていないのですか?」
旭課長「マンションの一室を貸しているので、申告はしているのですが、先物取引の損失は申告しませんでした。昨年の赤字はもうどうにもならないのでしょうか、女房にばれたら、内緒にしていたことと、税金を払わなくてはいけないこととダブルで怒られてしまいます。」
黒田「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。昨年の損失なら更正の請求を行い、税務署がその請求を認めてくれれば、その後今年の確定申告をすることで手続き的な要件は満たされますので、昨年の損失は今年の利益と通算することが可能になるはずです。また確定申告自体していないようであれば期限後申告という方法になるので、先程確認させていただいたわけです。」
旭課長「よかった! すぐに更正の請求をだします! どうしたらいいのでしょうか。」
黒田「国税庁のHPの確定申告作成コーナーに更正の請求書・修正申告書作成コーナーがありますのでそちらを利用するとよいでしょう。」
旭課長「ありがとうございます。」
リエ「旭課長、奥さんに内緒はいけませんよ。」
旭課長「リエちゃん、いつの間に! お願い内緒にしておいて!」