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消費税増税の経過措置2

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前回からの続きです。

経過措置(通信販売、有料老人ホーム、家電リサイクル法関係)

8.通信販売

通信販売の方法により商品を販売する事業者が、31年指定日前にその販売価格等の条件を提示し、又は提示する準備を完了した場合において、31年施行日前に申込みを受け、提示した条件に従って31年施行日以後に行われる商品の販売(軽減対象資産の譲渡等を除きます)

9.有料老人ホーム

26年指定日から31年指定日の前日までの間に締結した有料老人ホームに係る終身入居契約(入居期間中の介護料金が入居一時金として支払われるなど一定の要件を満たすものに限ります)に基づき、31年施行日前から同日以後引き続き介護に係る役務の提供を行っている場合における、31年施行日以後に行われるその入居一時金に対応する役務の提供

10.特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に規定する再商品化等

家電リサイクル法に規定する製造業者等が、同法に規定する特定家庭用機器廃棄物の再商品化等に係る対価を31年施行日前に領収している場合(同法の規定に基づき小売業者が領収している場合も含みます)で、その対価の領収に係る再商品化等が31年施行日以後に行われるもの

事業者間で収益・費用の計上基準が異なる場合の取扱い

この経過措置がらみで、よく質問を受けるのが下記です。

(質問)
当社(A社)では、検収基準により仕入れを計上しています。ところで、当社と取引先(B社)の収益、費用の計上基準の違いにより、当社が、10月初旬に検収基準により仕入れを計上したものであっても、取引先が出荷基準によっている場合、31年施行日前に出荷された商品は旧税率(8%)が適用されるので、取引先(B社)から、旧税率に基づく消費税額等が記載された請求書が送付されてくるものと考えられます。
このような場合、当社の仕入控除税額の計算はどのように行えばよいですか。

(回答)
31年新消費税法は、経過措置が適用される場合を除き、31年施行日以後に行われる資産の譲渡等及び課税仕入れ等について適用されます。
質問の事例は、B社がA社に対して、26年施行日から31年施行日の前日(平成31年9月30日)までの間に行った課税資産の譲渡等ですので、A社においても、31年旧消費税法の規定に基づき仕入控除税額の計算を行うこととなります。

経過措置は強制適用だが、軽減税率優先

ちなみにですが、経過措置については選択適用ではありません。

つまり、経過措置の各規定により、旧税率(8%)が適用される31年施行日以後に事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れについては、必ず経過措置を適用することとなります。

例えば、電気料金等の税率等に関する経過措置の適用を受ける電気料金について、新税率(10%)により仕入税額控除を行うことはできません。

一方、平成31年10月1日以後に行う資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合の適用税率に関しては、経過措置の各規定は適用されず、軽減税率が適用されます。

執筆者情報

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今村仁

マネーコンシェルジュ税理士法人/ビジネスサクセション株式会社 代表 

会計事務所を経験後ソニー株式会社に勤務。その後2003年今村仁税理士事務所を開業、2007年マネーコンシェルジュ税理士法人に改組、代表社員に就任。ビジネスサクセション株式会社、代表取締役社長。税理士・宅地建物取引主任者・CFP等

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前回からの続きです。通信販売の方法により商品を販売する事業者が、31年指定日前にその販売価格等の条件を提示し、又は提示する準備を完了した場合において、31年施行日前に申込みを受け、提示した条件に従って31年施行日以後に行われる商品の販売(軽減対象資産の譲渡等を除きます)
2018.12.19 09:30:41