輸入取引にかかる消費税
リエ「黒田さん。ちょっといいですか?」
黒田「はい。なんでしょう。」
リエ「海外の業者から仕入れをしたので支払ったのですが、経理処理はどのようにすればよろしいですか?」
黒田「通関手続きは通関業者に依頼しましたか?」
リエ「はい。頼みました。」
黒田「それでは通関業者からの請求書も用意してください。」
リエ「はい。ここにあります。」
黒田「まず海外の業者へ支払った仕入代金は勘定科目を仕入れとし、消費税の課税区分は対象外とします。」
リエ「えっ! 国内で消費されるものなのに消費税は対象外になってしまうのですか?」
黒田「いえいえ。保税地域から引き取られる外国貨物、いわゆる輸入品には原則として消費税がかかります。通常の国内での仕入れの場合は仕入先に消費税を支払っていますが、輸入の場合は保税地域から輸入品を引き取る際に、保税地域を管轄する税関長に納付することになります。通関業者の請求書内訳には消費税とありますよね。これは通関業者が消費税を立て替えて納付しているということです。」
リエ「そういうことだったのですか。でも、この消費税って仕入価格の8%ではない気がするんですが………。」
黒田「はい。外国貨物の課税標準は、関税課税価格いわゆるCIF価格に消費税以外の個別消費税の額及び関税の額に相当する金額を加算した合計額です。これに(2018年現在)6.3%の消費税が課税され、消費税額の17/63に当たる額が地方消費税となります。」
リエ「通関業者への支払はどのように処理すればよろしいでしょうか?」
黒田「消費税及び地方消費税は仮払消費税等とし、消費税申告の際に課税貨物に係る消費税額として控除します。その他、関税や通関料等は消費税の課税対象ではありませんが、国内運送費などは課税対象になりますので、内容を確認し区分しなければなりません。」
リエ「でも私が以前、個人的に輸入した時はこんなに色々とかかりませんでしたよ。」
黒田「今、説明したのはあくまで商業目的輸入の場合です。個人使用目的輸入の場合は関税を計算する上での課税対象額が変わってきますし、そもそも商業目的でも個人使用目的でも課税対象額が1万円以下の場合は免税となり、関税も消費税も課税されません。ただし、課税対象額が1万円以下であっても、我が国の産業に対する影響その他の事情を勘案して免税しない物品もあります。」
リエ「わかりました。ありがとうございました!」