従たる給与についての扶養控除等の(異動)申告
リエ「黒田さんに教えて頂きたいことがあるのですが、いまよろしいですか。」
黒田「いいですよ。」
リエ「『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』の右上の欄に、『従たる給与についての扶養控除申告書の提出をしている場合は○印をつけてください。』とありますよね。従業員に『従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書って、どんな人が出すの、出したらどうなるの。』と質問されましたが、説明できなかったので教えて頂けますか。」
黒田「わかりました。細かい説明は省きますが、例えばお子さん二人を扶養しているAさんという方が、パートの掛け持ちでB社とC社の2ヵ所にお勤めされていたとしましょう。そしてB社に『給与所得者の扶養控除等(異動)申告書』を提出していた場合、B社からの給与が『主たる給与』、C社からの給与が『従たる給与』になります。この場合、C社のお給料から徴収される源泉所得税額は、B社からの給与とは違って割高になりますよね。」
リエ「そうですね、C社での給与からは源泉徴収税額表でいう、『乙欄』での徴収になりますから、月額1万円のお給料でも源泉徴収されてしまいますね。」
黒田「その通りです。この方のお給料が、B社から月額8万円、C社から月額6万円だった場合、普通に源泉徴収を行うと、B社での源泉徴収税額は0円、C社での源泉徴収税額は1837円になります。」
リエ「源泉徴収税額表通りに算出するとそうなりますね。」
黒田「一方、月額14万円のお給料を1ヵ所から受給した場合、お子さん二人が扶養親族であれば、源泉徴収税額は0円になります。」
リエ「あ、本当だ。これは不公平ですよね。」
黒田「不公平ですし、最終的に年間の所得税を計算した場合、この徴収税額はかなり過大となってしまいます。そこで、『従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書』を活用する意味が生じます。Aさんの場合、B社からの年間給与額が96万円という見込だったとして、給与所得控除額と基礎控除を差し引くだけで、課税所得が0円となってしまい、B社の源泉徴収や年末調整において扶養控除が活かされません。このようなケースでしたら、『従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書』に、扶養親族2名の氏名等の必要事項を記入してC社に提出すれば、C社での源泉徴収税額から、扶養親族1名あたり1610円の税額が控除されます。」
リエ「ということは、Aさんの場合はお子さんが二人いるわけですから、C社での源泉徴収税額を0円にすることができるということですね。」
黒田「その通りです。」
リエ「その結果手取額が増えるのでAさんの生活面も少しは楽になりますね。よくわかりました、ありがとうございました。」