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“RPA“による事務作業の生産性向上

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中小企業診断士の進藤先生が来られたので、リエちゃんが質問しています。

リエ「“RPA”というテーマでIT会社のセミナー案内が来ています。事務作業の生産性を上げる手法で最近注目されているとのことなので、受講に行こうと思っていますが、どのような背景から注目されているのでしょうか。」

進藤「ご存知のように、日本の生産労働人口は減少局面にあります。労働力を維持しつつ国際競争力を強化するためには労働力の有効活用や生産性を向上させるための方策が必要です。政府が推奨している働き方改革の動きの中でも、人手不足を補いながら生産効率を上げるためのさまざまな施策が講じられています。たとえばテレワークの推進をはじめとするワークスタイルの柔軟化による人材の確保や、ICTの高度活用による業務効率改善といったものです。従来よりも少ない人数で生産力を高めるための手段として、現在、RPA(ロボットによる業務自動化:Robotics Process Automation)が注目を集めています。」

リエ「導入実績とか今後の見通しとか、どうでしょうか。」

進藤「総務省は、国内では14.1%の企業が導入済み、6.3%が導入中、19.1%が導入を検討中。市場規模は2017年度が31億円、2021年度には100億円規模になると予測を公表しています。」

リエ「ロボットによる自動化というのは、どのような業務が適用されますか?」

進藤「人間が行っている定型的なパソコン操作をソフトウエアのロボットにより自動化します。そのため、マウス、キーボードなどのユーザー・インターフェース上の操作を認識する技術とワークフロー実行を組み合わせ、表計算ソフトやメールソフト、業務システムなど複数のアプリケーションを使用するプロセスをオートメーション化します。具体的には、帳簿入力や伝票作成、ダイレクトメールの発送業務、経費チェック、顧客データの管理、ERP(基幹業務システム)、SFA(営業支援システム)へのデータ入力、定期的な情報収集などに事務職の人たちが携わる定型業務があげられます。」

リエ「セミナー案内に“RPA”に段階があると書いてありますが、どのような段階でしょうか。」

進藤「以下の3段階に分けています。
クラス1:RPA(Robotic Process Automation)定型業務の自動化
 情報取得や入力作業、検証作業などの定型作業を自動化。
クラス2:EPA(Enhanced Process Automation)一部非定型業務の自動化
 RPAとAIの技術を用いることにより非定型作業の自動化。自然言語解析、画像解析、音声解析などの技術を搭載。
クラス3:CA(Cognitive Automation)高度な自律化
 プロセスの分析や改善、意思決定まで自動化。」

リエ「人間が携わる業務がなくなってしまいそうですね。」

進藤「そうなんですよ。人間の補完として業務を遂行することから、仮想知的労働者(Digital Labor)として、2025年までに事務的業務の1/3の仕事がRPAに置き換わるインパクトがあるといわれています。」

リエ「RPAによって、人間の仕事が機械に置き換わっても、仕事には人間の感情とか将来の夢がありますので、人間でなければできない分野を大切にしていきたいです。ありがとうございました。」

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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中小企業診断士の進藤先生が来られたので、リエちゃんが質問しています。リエ「“RPA”というテーマでIT会社のセミナー案内が来ています。事務作業の生産性を上げる手法で最近注目されているとのことなので、受講に行こうと思っていますが、どのような背景から注目されているのでしょうか。」進藤「ご存知のように、日本の生産労働人口は減少局面にあります。労働力を維持しつつ国際競争力を強化するためには労働力の有効活用や生産性を向上させるための方策が必要です。政府が推奨している働き方改革の動きの中でも、人手不足を補いながら生産効率を上げるためのさまざまな施策が講じられています。たとえばテレワークの推進をはじめとするワークスタイルの柔軟化による人材の確保や、ICTの高度活用による業務効率改善といったものです。従来よりも少ない人数で生産力を高めるための手段として、現在、RPA(ロボットによる業務自動化:Robotics Process Automation)が注目を集めています。」リエ「導入実績とか今後の見通しとか、どうでしょうか。」進藤「総務省は、国内では14.1%の企業が導入済み、6.3%が導入中、19.1%が導入を検討中。市場規模は2017年度が31億円、2021年度には100億円規模になると予測を公表しています。」リエ「ロボットによる自動化というのは、どのような業務が適用されますか?」進藤「人間が行っている定型的なパソコン操作をソフトウエアのロボットにより自動化します。そのため、マウス、キーボードなどのユーザー・インターフェース上の操作を認識する技術とワークフロー実行を組み合わせ、表計算ソフトやメールソフト、業務システムなど複数のアプリケーションを使用するプロセスをオートメーション化します。具体的には、帳簿入力や伝票作成、ダイレクトメールの発送業務、経費チェック、顧客データの管理、ERP(基幹業務システム)、SFA(営業支援システム)へのデータ入力、定期的な情報収集などに事務職の人たちが携わる定型業務があげられます。」リエ「セミナー案内に“RPA”に段階があると書いてありますが、どのような段階でしょうか。」進藤「以下の3段階に分けています。クラス1:RPA(Robotic Process Automation)定型業務の自動化 情報取得や入力作業、検証作業などの定型作業を自動化。クラス2:EPA(Enhanced Process Automation)一部非定型業務の自動化 RPAとAIの技術を用いることにより非定型作業の自動化。自然言語解析、画像解析、音声解析などの技術を搭載。クラス3:CA(Cognitive Automation)高度な自律化 プロセスの分析や改善、意思決定まで自動化。」リエ「人間が携わる業務がなくなってしまいそうですね。」進藤「そうなんですよ。人間の補完として業務を遂行することから、仮想知的労働者(Digital Labor)として、2025年までに事務的業務の1/3の仕事がRPAに置き換わるインパクトがあるといわれています。」リエ「RPAによって、人間の仕事が機械に置き換わっても、仕事には人間の感情とか将来の夢がありますので、人間でなければできない分野を大切にしていきたいです。ありがとうございました。」
2018.11.05 16:39:23