国税庁の税務行政の将来像に関する取組状況
旭課長「黒田さん、これから大企業は電子申告が義務化されるんですよね。」
黒田「そうですね、平成32年4月1日以降開始事業年度からですから、もう少し先になりますが。」
リエ「当社は既に電子申告を実施していますが、これからもインターネットを活用した手続きが普及していくんでしょうか。」
黒田「先日国税庁から、税務行政の将来像に関する最近の取組状況が公開されましたが、『納税者の利便性の向上』や、『課税・徴収の効率化・高度化』を目的として、AIやICTを活用しながら段階的に取り組んでいくそうです。」
旭課長「具体的にはどんなことでしょうか。」
黒田「色々あるようですが、身近なところでは年末調整に使用する書類をスマホで作成して、オンラインで勤務先に提出できる仕組みや、給与所得者の医療費控除のような簡単な所得税の確定申告もスマホでできるようにシステムを開発しているようです。」
リエ「所得税の確定申告を電子申告するには、電子認証を行うためのマイナンバーカードやカードリーダライタが必要ですよね。」
黒田「今はそうですが、事前に税務署で本人確認を済ませておけば、あとはIDとパスワードだけで電子申告できるようにするようですよ。」
リエ「そうなんですか、それはいいかもしれませんね。確定申告のためだけにカードリーダライタを購入するのも、もったいないですからね。」
旭課長「それらが『納税者の利便性向上』のための取組みというわけですか、『課税・徴収の効率化・高度化』ではどんな取組みが行われるのですか?」
黒田「提出された申告書等の内容や、インターネット上及び他省庁などにある情報を収集し、それらからAIや分析ツールを利用して、その法人に対して、『文書でのお尋ね』『電話による問い合わせ』『実地調査の実施』など、どういった対応が最適かを判定できるようにするそうです。」
リエ「え~、なんか怖いですね。」
黒田「今よりも厳しくするというわけではなくて、以前と比べて申告件数に対する職員数が少なくなっているので、無駄を少なくして、国際的租税回避や大口・悪質事案へ対応する時間を増やすようにしたいとのことです。」
旭課長「なるほど、それが効率化や高度化ということですね。」
黒田「はい、税務署も適正に申告納税してくれる納税者を調査するのは時間の無駄だと考えています。ですから適正に申告納税してさえいれば、特に怖がる必要はありませんよ。」
リエ「会社としては適正に申告しているつもりだからこそ、担当者としてはミスや勘違いを指摘されるのがいやなんです。」
黒田「それは私にも責任があるわけですから、あまり気にしないでください。」
旭課長「そうだね、その時は黒田さんにも一緒に謝ってもらったら。」
リエ「課長もですよ。」