借上げ社宅に係る消費税の取扱い
リエ「黒田さん。ちょっと相談があるんですが。」
黒田「何でしょうか。」
リエ「今度、従業員の社宅として利用するため、アパートの1室を借りたのですが、消費税の取扱いで一部わからない部分があります。」
黒田「借上げ社宅ですね。」
リエ「はい。住宅の賃料は居住用として借りているので非課税取引とわかるのですが、その他に共益費、駐車場代と水道料金が別途記載されていて住宅の賃料と併せて支払うこととなっているのですが、こちらも非課税取引になるんでしょうか。」
黒田「まず、共益費ですが、共益費は一般的に住宅を共同で利用する上で居住者が共通に使用すると認められる部分の費用を居住者に応分に負担させる性格のものとされます。したがって、住宅の賃料と同様の性格のものとして、非課税取引となります。次に駐車場代ですが、駐車場の使用料は、地面の整備や区画整理などされている場合には、住宅と併せて借りていても課税取引となります。ただし、その駐車場が何の整備もされていない空き地を駐車場用地としている場合や車の所有にかかわらず、アパートの1戸につき1台以上の駐車場がついている場合において、住宅の賃料に含まれていて駐車場利用料の記載がないときは、非課税取引として取り扱われます。」
リエ「なるほど。水道料金はどうでしょうか。」
黒田「水道料金も課税取引となります。ただし、住宅の賃料の中に含まれていて水道料金の金額の記載がない場合には、非課税取引として取り扱われます。」
リエ「今回は、駐車場代も水道料金も住宅の賃料とは別途、金額が記載されています。駐車場は、アスファルト舗装と区画整理がされた駐車場ですので、どちらも課税取引になりますね。」
黒田「そうですね。なお、今回の社宅に関して従業員の負担はどのようになっていますでしょうか。」
リエ「住宅の賃貸料については50%、駐車場代と水道料金は全額を従業員の負担としています。」
黒田「その場合ですと、住宅の賃料については、賃料の支払時及び従業員からの収受時に非課税取引として処理となりますが、駐車場代と水道料金は、従業員の負担を会社が一時的に立て替えて支払っていますので、課税取引とせず、立替金として不課税取引と処理することも認められています。」
リエ「そのような処理方法もあるんですね。わかりました。ありがとうございました。」