前妻の子供は後妻の親族となるか
旭課長「私の友人(A)の話なのですが、実父(B)の再婚相手である後妻(C)に我が子のように育てられました。今もCと同居をしており、Cの介護をよくやっているのです。」
リエ「実の親子よりも仲が良いかもしれませんね。」
旭課長「Bが亡くなった際の相続では、すべて配偶者であるCが相続したそうです。現在AとCが同居している土地・建物もCの所有となっています。」
黒田「なるほど、Cさんの相続に関してのご相談ですね。Cさんに他に相続人となる方はいらっしゃるのですか。」
旭課長「実子のいないCの親はすでに亡くなっていますし、兄弟もおらず他に法定相続人となる方はいないそうです。Cは、Aにすべてを相続させたいと考えているのですが、AとCは養子縁組を行っていません。現状でCの希望通りAに相続させることはできるのですか。」
黒田「AさんとCさんの仲に問題は感じられませんので、養子縁組をされるのが一番かと思います。故有って養子縁組を行わないのであれば、遺言書で遺贈する方法を検討されてはいかがでしょうか。」
リエ「遺贈となると相続税の負担が大きくなってしまうのではないですか。」
黒田「被相続人の一親等内の血族にはあたりませんので相続税額に2割加算されます。ですが、お話を伺う限りでは、小規模宅地等の特例を適用することは可能だと思います。民法上、配偶者の三親等内の姻族まで親族として認められています。つまり、Bさんの実子であるAさんは、Cさんの姻族となるわけです。」
旭課長「確かに小規模宅地等の特例要件に生計を一にする親族と書いてあった気がするな。」
黒田「ええ、CさんがBさんの亡くなる前に離婚をしていた又はBさんが亡くなった後に姻族関係終了届を提出していなければ、親族関係が存在しますので小規模宅地等の特例の適用要件を満たすことになります。」
リエ「想いをうまく形にできると良いですね。」
民法728条1項 姻族関係は、離婚によって終了する
民法728条2項 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了する意思を表示したときも前項と同様とする