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来年1月7日から導入される国際観光旅客税

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リエ「黒田さん、いつからか分かりませんが、海外旅行に行く時に税金がとられるようになるって本当ですか?」

黒田「その通りです。平成30年度の税制改正で、新たに『国際観光旅客税』という税金が創設されて、平成31年1月7日以後は、出国するたびに1000円の税金が徴収されます。」

リエ「え~、なんですかそれ。」

黒田「ここ何年か海外からの観光客が順調に増えて、国内経済に好影響を与えているようなので、それを一層推し進めることや、出入国時のセキュリティ強化に充てるための財源とするようです。」

リエ「ん~、目的は理解できますけど何となく納得できませんね。何か海外旅行に行くことが良くないことみたいに感じてしまいます。」

黒田「確かに海外旅行に行くのは自由ですし、海外からの観光客増加等で恩恵を受けるのは海外旅行に行く人だけではありませんから、海外旅行に行く人だけに負担を求めるというのは、金額が少ないとはいえ納得できない方もいらっしゃるでしょうね。」

リエ「海外旅行に行く人は必ず払わなくてはいけないんですか。」

黒田「飛行機でも船でも日本の領空や領海を出る場合に課税されることになっていますので、普通に海外旅行に行く方は必ず負担することになると思います。それに日本に旅行に来た外国人の方も、出国する際には課税されることになります。ただ飛行機や船の乗員、入国後24時間以内に出国する乗継旅客、2歳未満の者、遠洋漁業の漁船員などは非課税となるようです。また天候等の理由で、外国に寄港することなく日本に戻ってきてしまった場合なども課税されません。」

リエ「私はどうやっても払わないといけないということですね。」

黒田「でしょうね。政府専用機などで出国する場合はリエさんでも課税されないと思いますが。」

リエ「そんなことあるわけないじゃないですか。でもどうやって払うんですか。」

黒田「徴収と納付は、国際旅客運送事業を営む者による特別徴収が原則のようです。つまり、飛行機で海外旅行に行く際は、航空会社が航空券代に国際観光旅客税を上乗せして徴収し、その後航空会社が税務署等に納付することになります。」

リエ「なるほど、私たちが特に何か手続きをするわけではないということですね。決まってしまったのであれば仕方がないですが、海外旅行に行くのであれば年内に出発すればいいということですね。」

黒田「課税されるのが来年の1月7日の出国からですから、次の年末年始のお休みに海外旅行に行かれる方は、ほとんど課税はされないでしょう。それに経過措置もありますから、来年の1月7日より前に締結された運送契約による出国であれば、1月7日以後の出国でも課税はされません。」

リエ「ということは、今年中に来年のゴールデンウィークの海外旅行を申し込んでおけば、課税されないということですか。」

黒田「いえ、あくまで旅行会社との契約ではなく、航空会社等の『国際旅客運送事業を営む者』との運送契約ですから、旅行会社に申し込んでも、その後航空会社等との運送契約が1月7日までされないといけませんので注意が必要です。」

リエ「そうなんですね。私は海外旅行なんか行くことはそうそうないと思いますが、友達で旅行好きの人もいますから今後教えてあげようと思います。」

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「黒田さん、いつからか分かりませんが、海外旅行に行く時に税金がとられるようになるって本当ですか?」黒田「その通りです。平成30年度の税制改正で、新たに『国際観光旅客税』という税金が創設されて、平成31年1月7日以後は、出国するたびに1000円の税金が徴収されます。」リエ「え~、なんですかそれ。」黒田「ここ何年か海外からの観光客が順調に増えて、国内経済に好影響を与えているようなので、それを一層推し進めることや、出入国時のセキュリティ強化に充てるための財源とするようです。」リエ「ん~、目的は理解できますけど何となく納得できませんね。何か海外旅行に行くことが良くないことみたいに感じてしまいます。」黒田「確かに海外旅行に行くのは自由ですし、海外からの観光客増加等で恩恵を受けるのは海外旅行に行く人だけではありませんから、海外旅行に行く人だけに負担を求めるというのは、金額が少ないとはいえ納得できない方もいらっしゃるでしょうね。」リエ「海外旅行に行く人は必ず払わなくてはいけないんですか。」黒田「飛行機でも船でも日本の領空や領海を出る場合に課税されることになっていますので、普通に海外旅行に行く方は必ず負担することになると思います。それに日本に旅行に来た外国人の方も、出国する際には課税されることになります。ただ飛行機や船の乗員、入国後24時間以内に出国する乗継旅客、2歳未満の者、遠洋漁業の漁船員などは非課税となるようです。また天候等の理由で、外国に寄港することなく日本に戻ってきてしまった場合なども課税されません。」リエ「私はどうやっても払わないといけないということですね。」黒田「でしょうね。政府専用機などで出国する場合はリエさんでも課税されないと思いますが。」リエ「そんなことあるわけないじゃないですか。でもどうやって払うんですか。」黒田「徴収と納付は、国際旅客運送事業を営む者による特別徴収が原則のようです。つまり、飛行機で海外旅行に行く際は、航空会社が航空券代に国際観光旅客税を上乗せして徴収し、その後航空会社が税務署等に納付することになります。」リエ「なるほど、私たちが特に何か手続きをするわけではないということですね。決まってしまったのであれば仕方がないですが、海外旅行に行くのであれば年内に出発すればいいということですね。」黒田「課税されるのが来年の1月7日の出国からですから、次の年末年始のお休みに海外旅行に行かれる方は、ほとんど課税はされないでしょう。それに経過措置もありますから、来年の1月7日より前に締結された運送契約による出国であれば、1月7日以後の出国でも課税はされません。」リエ「ということは、今年中に来年のゴールデンウィークの海外旅行を申し込んでおけば、課税されないということですか。」黒田「いえ、あくまで旅行会社との契約ではなく、航空会社等の『国際旅客運送事業を営む者』との運送契約ですから、旅行会社に申し込んでも、その後航空会社等との運送契約が1月7日までされないといけませんので注意が必要です。」リエ「そうなんですね。私は海外旅行なんか行くことはそうそうないと思いますが、友達で旅行好きの人もいますから今後教えてあげようと思います。」
2018.06.04 16:18:55