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仮想通貨の譲渡に係る消費税の課税関係の見直し

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1 金融庁の要望を受けて改正

 平成29年度税制改正にあたり、金融庁は、今後、仮想通貨の利用の増加が見込まれることから、国際的な課税上のバランスや改正資金決済法の規制の整備を踏まえ、銀行券や小切手、電子マネー等、外為法上の支払手段等との平仄をあわせ、その譲渡について消費税を非課税とする措置を要望しました。
 これを受け、消費税が非課税とされる支払手段に類するものの範囲に、改正資金決済法第2条第5項に規定する仮想通貨が追加されました(消令9④)。
 また、法定通貨等の支払手段と同様に、仮想通貨の譲渡の対価の額は、課税売上割合の計算に含めないこととされました(消令48②一)。

2 適用関係

 この改正は、平成29年7月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れについて適用されています(平29改令附2)。
 改正前に譲り受けた仮想通貨について、個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合の仕入れ区分は、「課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ」となります。
 ただし、駆け込みで行われる仕入れが仮想通貨の市場に大きな影響を及ぼすことを回避する観点から、次の経過措置が設けられています(平29改令附8)。
① 平成29年6月30日に100万円(税抜き)以上の仮想通貨(国内において譲り受けたもの)を保有する場合において、
② 同日の仮想通貨の保有数量が平成29年6月1日から平成29年6月30日までの間の各日の仮想通貨の保有数量の平均保有数量に対して増加したときは、
③ その増加した部分の課税仕入れに係る消費税については、仕入税額控除制度の適用は認めない。


このコンテンツの内容は、平成29年9月1日現在の法令・通達等によっています。

資料提供(出典)

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平成29年10月改訂         プロフェッショナル         消費税の実務

著者:税理士 金井恵美子

発行日:2017年10月25日
発行元:株式会社 清文社
規格:B5判704頁

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 平成29年度税制改正にあたり、金融庁は、今後、仮想通貨の利用の増加が見込まれることから、国際的な課税上のバランスや改正資金決済法の規制の整備を踏まえ、銀行券や小切手、電子マネー等、外為法上の支払手段等との平仄をあわせ、その譲渡について消費税を非課税とする措置を要望しました。 これを受け、消費税が非課税とされる支払手段に類するものの範囲に、改正資金決済法第2条第5項に規定する仮想通貨が追加されました(消令9④)。 また、法定通貨等の支払手段と同様に、仮想通貨の譲渡の対価の額は、課税売上割合の計算に含めないこととされました(消令48②一)。
2018.06.04 16:40:49