青色申告特別控除65万円が引き下げられる?
リエ「平成30年度税制改正大綱の中で青色申告特別控除の控除額が引下げとあったんですけど、どのように変わるんですか。」
黒田「リエちゃん、税制改正大綱もしっかりチェックしているんですね。」
リエ「見出しで気になったものだけですけどね。」
黒田「では、簡単にお話ししますね。そもそも、青色申告特別控除の控除額には65万円と10万円の2つがありましたよね。そして、この控除額65万円の適用を受けるためには、取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳することが必要になっています。」
リエ「はい、そうでした。」
黒田「今回の改正は、この青色申告特別控除の控除額65万円を55万円に引き下げるという内容になっています。ただし、下記の要件のいずれかを満たす場合には、現行と同じ控除額65万円の青色申告特別控除の適用を受けることができます。」
イ.その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)に定めるところにより電磁的記録の備付け及び保存を行っていること
ロ.その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、その提出期限までに電子情報処理組織(e-Tax)を使用して行うこと
リエ「紙媒体での保存や申告では青色申告特別控除の控除額が小さくなってしまうんですね。ところで、控除額10万円の規定についても変わってしまうんですか。」
黒田「いえ、今回の改正は、控除額65万円に関するものですから、簡易簿記や現金主義等の場合の控除額10万円の規定は現行と同じままになります。」
リエ「そうなんですね。」
黒田「電子申告等はすでに始まっているものですが、国としては今回の改正により更なる電子申告・電子納税の普及を図りたいんじゃないでしょうか。」
リエ「なるほど~。納税者からしても紙媒体だと保管も大変だし、税務署へ提出しに行く手間も省けますから悪いことではないですよね。」
黒田「はい。この改正は、平成32年分以降の所得税及び平成33年度分住民税より適用となる予定です。」
リエ「わかりました。黒田さん、いつもありがとうございます。」