原価管理システム導入にあたっての注意点
自社の製品・商品が、どの程度利益に貢献しているか把握できているだろうか。会社全体の損益の状況は、決算報告書(B/S、P/L)を通じて、概ね全体像を把握することができる。
しかしどのプロセス、どの製品・商品が儲けの要因となっているか、もしくは損失の要因となっているか、把握できていないというお客さまの話をよく聞く。
製品・商品ごとの利益を把握するためには、ご存知のとおり原価計算が必要となる。原価計算とは、原価管理の一環として行われるものであり、 費目別原価から製品・商品別原価を算出していく手法である。その結果から、製品・商品別の利益が求められ、以下3点に活用することができる。
1.販売価格の見直し
2.変動費・固定費総額の削減策検討
3.製品のスクラップ&ビルド(統廃合)
最近ではITシステムの高度化により、複雑な原価計算をしなくても済むよう、原価管理システムを導入する企業が増えている。しかしITシステムを導入するだけでは、実態に即した製品・商品別原価が把握できる訳ではない。
あるメーカーA社で「原価管理のITシステムを導入したが、運用されていない」という失敗談を聞いた。社長の号令の下、情報システム部門が主導となってパッケージ化されたシステムを導入し、生産現場の意見が反映されなかったことが原因だ。必要な情報を簡易に入力できず、実用性に大きく欠けていたため「宝の持ち腐れ」になってしまったのである。
原価の計算方法は、生産形態によって算出方法が異なる。ITシステムを活用した原価管理が利便性・作業効率の観点から効果的と考えられるが、自社の目的・方法・コストなど多方面からの精査が必要であり、実施テストを繰り返し行ってから、ITシステム導入を検討することが重要である。
ここで、“原価管理の本質”を理解しておいていただきたい。
利益が出ている商品は、いかに拡販していくか販売戦略を打ち立てる。
利益が出ていない商品は、どこにロスがあるのか見極めて対策を打つ。それらを全員で考え、全員で行動し、結果を出していくことである。
まずはその点に留意し、自社の原価管理の信頼性は十分か、ご確認いただきたい。