問題指摘型幹部が組織の活力を低下させる
「わが社の幹部には危機意識が足りない。もっと経営者意識を持って取り組んでもらいたい」
これは経営者の方と話をしていて、よく聞く言葉である。企業により格差はあるが、とくに中堅・中小企業において、経営者と幹部の間の危機意識の格差が大きいように思われる。
筆者はよく企業の幹部に「貴社の今後の成長において、今、最も重要な課題は何ですか?」という質問をさせていただく。この質問に対して、さすがに幹部ともなると、新規事業開拓から人材育成や品質管理・クレーム処理といったオペレーション上のことまで、さまざまな課題を流暢に話される方が多い。
しかしながら、次に「では、その課題に対して実際に幹部の立場として、どのような取り組みをされていますか?」と質問をすると、「その問題についてはわが部門では取り組んでいますが、全社的な取り組みは・・・」といった回答や、「現在、○○プロジェクトを立ち上げているところで、今後改善が進むと思われます」、「他部門の協力が得られなくて正直進んでいません」というような曖昧で主体性のない回答が多いのが現実である。
課題を認識していながら、その改善策を具体的に示すことが出来ていない、もしくは主体的な取り組みが出来ていないのは、裏を返せば本気でその課題に対する改善を常日頃から真剣に考えていない証拠だと言える。
こうした発言・取り組みが要因となり、経営者は“幹部社員の危機意識不足”を感じるのであろう。
では、危機意識の高い幹部陣とはどのような幹部陣なのか。その基準となるのが80%という数値である。まずは以下の2つの80%以上を目指していただきたい。
1.今後の会社全体の成長において最も重要な課題を、経営者と同じ認識を持っている幹部の比率
2.最も重要な課題に対して具体的な対策を立案し、実際に改革に向けて動いている幹部の比率
経営者と幹部メンバーとの語り合いは、どれだけやってもやりすぎることはない。当然、目指すべきは100%であるが当面の目標値として参考にしていただきたい。