“実行・徹底”ができる幹部の必要性
昔はそうでもなかったと思うのだが、最近の経営者は非常に「戦略」を重視しており、常に考えている。また、世の中には「戦略的発想○○○」「戦略的○○○」などという活字が目に付き、書籍も数多くある。
昨今は「戦略流行り」の傾向にあり、もてはやされている。しかし、それとは逆に「実行・徹底」は軽く見られているのではないかと感じる。
「戦略流行り」の中において、「戦略を描けども実行・徹底がうまく行かず、成果に結びついていない」というのが多くの経営者の本音であろう。今回はこの「戦略」と「実行・徹底」について少し述べてみたい。
高業績を上げている会社の特徴として、第一に経営者が戦略的発想の持ち主であることが挙げられる。次にその経営者の思いを理解し、戦略を「実行・徹底する、させる」実務責任者がいるケースが非常に多い。
経営トップの戦略を現場レベルに落とし込み、実行・徹底しているのである。また上下・左右のコミュニケーションを密にし、何回も何回も重点的に方針の浸透を図っている。このような幹部が何人いるかで戦略の実現性、達成スピードは違ってくるのである。
北陸に、戦略的発想で高い業績を出している会社がある。この会社の社長は、常に戦う前に勝つことを考えており、「戦略は“実行と徹底”が大切で、とくにその徹底力が難しい」と言っていた。
確かにどんなに良い戦略を描いても、それを実行し、徹底する力がなければ実現するのは無理である。実現にはやはり「人」が不可欠である。
経営者からすれば「一度言ったら理解してくれただろう」と思っているかもしれない。しかし実際は、一度言っただけで幹部の腹に落ちるケースは非常に少ない。そして、現場レベルの責任者や管理者とも「戦略」についてコミュニケーションを密にし、「なぜこのようなことをするのか?」といったことを、もっとディスカッションする必要がある。
経営トップの思いを理解し、戦略を実行・徹底できる人材は、売上高10億円あたり1人は必要である。現場レベルでの「実行・徹底」ができる幹部を育成していただきたい。