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暴かれたコンドミニアム不正:「気楽な」コンドミニアム生活に潜むリスク (その2 全4回)

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 管理組合は毎月の維持費をオーナーから徴収している。維持費の金額や提供されるサービスは多岐にわたる。クラブハウス、スイミングプール、テニスコート、それらに加えて、あるいは、他の施設が付帯しているコンドミニアムは、それらの施設がない場合に比べて高い維持費が求められるのが通常である。理事会が有能なメンテナンスのための労働者を雇い、土地建物の維持のために良い仕事をしていることを願いたい。だが実際には、個人の部屋のオーナーは、メンテナンスの質や、誰がいつそれをするのかについて、大抵の場合、もしあったとしても極めてわずかな監督権しか持たない。
 管理組合は、毎月の維持費を積み立てた資金で、塗り替えや屋根の張替え、フェンスの交換、道路の再舗装など、大規模な修繕をすることもある。あるいは、管理組合は費用の総額に対する一人当たりの負担、仕事によっては数千ドルにもなる金額を各オーナーに求めるかもしれない。結果として、管理組合は年に数十万ドルに及ぶ資金を集め、使うことができるのである。管理組合理事会が、その資金を資産の維持管理のために適切に活用していればよいのだが、実際には、理事会は活動の質を確保するための統制をほとんど行っていないかもしれないのだ。
 リスクは、管理組合がコンドミニアムを自ら運営するか、資産管理会社を雇うかによって異なってくる。

自己運営型の管理組合 (Self-managed HOAs)

 より小規模な管理組合は、月々の維持費がより低く抑えられることから、自己管理型を選択することがある。しかし、その場合オーナーは、組合運営の一部を担うことを求められる。例えば、管理組合理事長が日常業務をこなすことになるかもしれないし、会計係や簿記係が請求書の支払いをすることになる。
 しかし、これらの人々が知識豊富な管理者で良好なチームでない限り、重大な統制上の問題が、管理組合を財政的なリスクにさらす。
 ボランティアの管理組合員は、コンドミニアム管理組合がビジネスとして運営される必要があることを認識していないことがある。彼らは、維持費を安くしたいといった個人的な利益追求の動機を持つかもしれない。メンテナンスの延期を議決したり、すべてを安く抑えようと欲したりするかもしれない。だが、それは管理組合やコンドミニアムオーナーの将来の利益にとってベストな選択ではない。
 もちろん、もしボランティアの会計係が誠実でなければ、管理組合は着服のリスクに瀕しているかもしれない。自己運営型の管理組合は、会計帳簿を維持する為に有能で誠実な簿記係を雇わなければならない。そして、税務と年次監査のために会計士と契約する必要がある。

専門業者運営型の管理組合 (Professionally managed HOAs)

 専門業者運営型の管理組合は、資産管理会社や資産管理者を雇い、その運営を任せている。管理組合にボランティアの理事会があったとしても、有給の資産管理者が日常業務を運営する。
 非常に大きい管理組合は、しばしば資産管理者をサポートするための敷地の管理者、メンテナンス作業者、オフィス・マネージャや帳簿係などの少人数のスタッフを雇うこともある。多くの専門業者運営型の管理組合は、うまく運営されているが、それでも資産管理者による不正や着服のリスクに対して脆弱である。
 過去数年間に渡り、資産管理者が自分自身の利益のために管理組合の資金を使っていたという多くの事例がニュースになった。ある事案では、管理者は敷地のメンテナンスのための資金の多くを着服していた。ボランティアの管理組合の理事会は、有給の管理者の仕事を注意深く監視しなければならない。
 残念なことに、多くのコンドミニアムの住人は、管理組合の日常業務に煩わされたくないと思っている。最も誠実な会計係や資産管理者でさえ現金に誘惑されるかもしれない。資金を失ってから、管理組合は所有者に修繕に必要なより多くの費用負担を求めなければならなくなるかもしれないのだ。

(その3に続く)
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初出:FRAUDマガジン45号(2015年8月1日発行)



この記事の執筆者

Linda Lee Larson, D.B.A., CFE, CPA
退任した会計学准教授である。
※執筆者の所属等は本記事の初出時のものである。

翻訳協力者:田邉 慶周、CFE、CIA

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 管理組合は毎月の維持費をオーナーから徴収している。維持費の金額や提供されるサービスは多岐にわたる。クラブハウス、スイミングプール、テニスコート、それらに加えて、あるいは、他の施設が付帯しているコンドミニアムは、それらの施設がない場合に比べて高い維持費が求められるのが通常である。理事会が有能なメンテナンスのための労働者を雇い、土地建物の維持のために良い仕事をしていることを願いたい。だが実際には、個人の部屋のオーナーは、メンテナンスの質や、誰がいつそれをするのかについて、大抵の場合、もしあったとしても極めてわずかな監督権しか持たない。 管理組合は、毎月の維持費を積み立てた資金で、塗り替えや屋根の張替え、フェンスの交換、道路の再舗装など、大規模な修繕をすることもある。あるいは、管理組合は費用の総額に対する一人当たりの負担、仕事によっては数千ドルにもなる金額を各オーナーに求めるかもしれない。結果として、管理組合は年に数十万ドルに及ぶ資金を集め、使うことができるのである。管理組合理事会が、その資金を資産の維持管理のために適切に活用していればよいのだが、実際には、理事会は活動の質を確保するための統制をほとんど行っていないかもしれないのだ。 リスクは、管理組合がコンドミニアムを自ら運営するか、資産管理会社を雇うかによって異なってくる。
2018.07.05 18:24:30