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申し訳ございません、おかけになった「不正」へは現在おつなぎすることができません。パート1(その2 全4回)

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この記事は許諾を得て、「贈収賄事例集:テーブルの下からの眺め “Bribery and Corruption Casebook: The View from Under the Table” 」Laura Hymes, CFE, and Dr. Joseph T. Wells, CFE, CPA編、John Wiley & Sons Inc.社、2012年より引用したものである。この事例における人名と組織名は変更した。

 ジェイク・マーシャル(Jake Marshall)に話を移そう。ジェイクも軍人の子供だった。高校卒業後、ジェイクは陸軍に入隊し、5年間通信技術員として従事した。除隊した時、ジェイクは自分の通信に関する知識を企業家として利用した。次の12年間、ジェイクは次々に会社を経営した。全て大企業に聞こえる会社の名前とマーケティングでちょうど流行している言葉が使われていた。しかし、それぞれの会社にはたった一人の従業員、つまりジェイクしかいなかった。
 どれも特に成功せず、ジェイクは成功する企業家にはなれないことが分かった。であれば、自分のスキルをコンサルティングに使ってみるのはどうか?
 ダンとジェイクは、主催者が「ネットワーク作り」を約束し「今後起こりうる問題」について案内するという一般的な業界の会議の一つであるサンディエゴの電気通信業界の会議で知り合った。レセプションで飲みながら、ダンはNyTellがこれまでで一番大きな電気通信のプロジェクトをどのように始めようとしているか説明した。ジェイクは自分のネットワークデザインに関する経験を大げさに宣伝した後で、プロジェクトコンサルタントとしてダンを支援することを申し出た。「あなたの陰にいさせてください。私は他の業者たちを正直にさせておくことができます」とジェイクは約束した。「私たちが一緒にどこまで行けるかはわかりません。可能性は無限です」
 この協力関係は彼らと、その家族、そしてNyTellにとっても長期にわたって影響することになった。

米国NyTell(NyTell USA)

 NyTellは電気通信会社の中で比較的新しい会社の一つであった。NyTellはノルウェーの企業であるNyheter Telekommunikasjons ASの一部門であった。アンデルシュ・ナイヘーター(Anders Nyheter)は第二次世界大戦後にNyheterを設立し、それからNyheterは50カ国で展開され年間の利益が700億ユーロの会社にまで拡大した。Nyheterの本社はオスロにあり、その株式は主要な欧州の市場で取引されている。
 監査人がNyheterの顧客収益の認識方法に相違があることを発見した後、Nyheterはコンプライアンス部門を設置した。監査人が財務諸表を検証しないかもしれないと宣言したことで、Nyheterの株は暴落し、上級経営陣の更迭につながった。しかし、調査の結果、内部統制の脆弱性によるもので、不正ではないとわかった。Nyheterの取締役会はコンプライアンス部の設置と同時に内部通報ホットラインと倫理のトレーニングを実施し、不正の懸念についての報告を必須とするよう命じた。
 それ以来、NyTellの現在の経営陣は安定している。オスロ本社から派遣されたアムンゼン・ブルッゲリ(Amundsen Bryggeri)が米国のCEOである。ブルック・ノックレコート(Brooke Nokklekort)はCFO。チェットことチェスター・プランプトン(Chester Plumpton)は最高情報責任者であり、ダンの上司である。チェットはNyTellのITに関するニーズに対する全てに責任を持っていた。ブルッゲリは、チェットに会社のコンピュータシステムの統合を成功させる責任を持たせていた。

DCCプロジェクト(The DCC project)

 多くの大企業と同様、NyTellはより小さな会社を団結させた集合体のように見えた。NyTellはNyMobile(無線サービス)、NyHome(電信電話線と固定電話サービス)、NyComputer(インターネットサービス)とNySatellite(テレビサービス)の4つの事業部門に分かれていた。各部門は、買収された事業だったのでそれぞれに以前からのデータシステムがあった。これらのデータシステムには古いものがあり、十分に他のシステムと統合できているものは1つもなかった。
 Nyheterの取締役会は米国のネットワークの再設計およびシステムを統一の場所に配置するためのデータセンター統合プロジェクトを承認したばかりだった。ダンがこのプロジェクトを主に請け負うHAL社の助けを大いに借りて、プロジェクトの時間軸を設計したため、オスロの取締役たちは彼をプロジェクトの責任者に任命した。


(パート1 その3に続く)

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初出:FRAUDマガジン43号(2015年4月1日発行)

この記事の執筆者

Meric Bloch, J.D., CFE, CCEP-F
Jabil Circuit社のグローバルコンプライアンス部門のシニア・ダイレクターである。300件以上の不正と重大な違法行為の調査の経験がある。不正調査に関連した著作や講演も多い。
翻訳協力:荒木理映、CFE、CIA

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この記事は許諾を得て、「贈収賄事例集:テーブルの下からの眺め “Bribery and Corruption Casebook: The View from Under the Table” 」Laura Hymes, CFE, and Dr. Joseph T. Wells, CFE, CPA編、John Wiley & Sons Inc.社、2012年より引用したものである。この事例における人名と組織名は変更した。
2018.07.05 18:24:28