83)限界利益には自社のブランド力が現れる②(付加価値率)
前回、決算書は使わずに経費を「個変分解」して、自社の変動費を明確にする方法を説明しました。変動費は売上と一定の率で正比例し、その率を「付加価値率」といいます。つまり、付加価値率が30%であれば、売上100万なら、限界利益(粗利益)30万。売上が1,000万なら限界利益(粗利益)は300万となります。
今回は、この限界利益(粗利益)が自社のブランド力を現しているという理由についてご説明します。世の中には、同じ材料を使っていても、最終売価が何倍もの差になっているものはたくさん存在します。洋服や宝飾品のブランドがその典型です。このような事例は何も特殊なものではなく、小さな商品、食品等身近なものにもたくさんあります。
つまり「商品Aは、商品Bと比べて少し高いけど、こっちの方が安全・安心だから、私はAを選びます」と言わせしめる根拠がその会社のブランド力であり、それが結果として決算書の限界利益(率)=付加価値(率)に現れることになります。ある意味で、限界利益はお客様からの御社に対するダイレクトな評価なのです。
限界利益を改善することを考えた場合、『原価をおさえる』という発想がでてきますが、これは場合によっては間違えた方法になる可能性もあることを考えておいて下さい。粗利率の改善を狙って、原材料等の仕入や外注先等、原価に係る品質を悪化させたばかりに今のお客様を逃してしまうというケースが失敗の典型的な事例です。
付加価値率をブランド力と捉えることは、その改善の視点を全く別のものにします。つまり、自社商品や製品の値付けを見直すという取り組みです。
・売ることを先行する余り、値段を安くしていないか?
・営業成績を追った営業マンが安易な値引きをしていないか?
・自社の商品・製品の良さを全員が語れるか?
・お客様に商品や製品の良さがキチンと伝わっているか?
・類似商品との差別化をし、お客様に伝えているか?
・結果として、より単価を上げることに繋がらないか? 等々
早速、自社のブランド力(=お客様からの評価)を確認し、さらなる評価を得るための創意と工夫に取り組んで下さい!