印紙税の7号文書に該当するか否か
リエ「黒田さん、同じような請負の契約書なのに印紙が4000円と200円の違いがあるのはどうしてですか?」
黒田「それは印紙税法上の第7号文書である、継続的取引の基本となる契約書に該当するかどうかで違いが生じます。」
リエ「7号文書ですか?」
黒田「そうですね、たとえば50万円の請負契約ですと印紙代は200円となりますが、第7号文書に該当すると4000円の収入印紙が必要となります。」
リエ「どういったものが該当するのですか?」
黒田「その契約期間が3ヵ月以内、かつ、更新のさだめがないものを除くという前提で、
・営業者間で締結される契約であること
・売買、売買の委託、運送、運送取扱又は請負のいずれかの取引に関する契約であること
・2以上の取引を継続して行う取引であること
・2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払い方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法または再販売価格のうち1以上の事項を定める契約であること
・電気又はガスの供給に関する契約でないこと
といった要件があります。」
リエ「なかなかむずかしいですね。」
黒田「そうですね、複雑ですが、主に注目すべき点は契約期間が3ヵ月超であるかどうか。その契約が売買、売買の委託、運送、運送取扱又は請負のいずれかの取引に該当するか。契約金額の記載があるかどうかではないでしょうか。」
リエ「それらに注目して7号文書に該当するかもしれない、となったら黒田さんに相談すればいいですか。」
黒田「そうですね、もちろん相談していただきたいのですが、正直申しますとこの7号文書に関する判断は迷うことが多く、ケースによってはそのリスクも大きくなります。例えば多数の取引相手と同じ内容の契約を締結する場合に、7号文書に該当しないとして、印紙を貼らない若しくは200円の印紙しか貼らなかったとします。そして何年か経った後の税務調査で、この判断が誤りで、本来は7号文書に該当するので4000円の印紙を貼らなくてはならないとされた場合には、何百もの契約書の印紙税と過怠税を払わなくてはならなくなることも考えられます。印紙税の追徴と過怠税で数百万円なんていうこともありますので、そのようなリスクが想定されるケースでは、本当に慎重な判断が求められます。」
リエ「え~、怖いじゃないですか。」
黒田「仰る通り、場合によってはとても怖いことなんです。ですので、会社と税理士等できちんと検討するのはもちろんですが、そのうえで管轄の税務署にその契約書を持って行って相談することをお勧めすることもあります。また、取引そのものに支障が出ない範囲で、難しい判断を要する契約内容にはしないという選択肢もありますね。」
リエ「税務署に確認をすれば大丈夫なんですか。」
黒田「残念ながらそれでも大丈夫とは言えませんが、何時どこの税務署の誰に相談してこういう回答を頂いた、という記録があれば万が一の時にもこちらの主張内容を補完する根拠の一つとなりますし、現実的に一般の納税者や税理士ができることはそこくらいまでなんです。」
リエ「なるほど、印紙税も大きなリスクがあることと、黒田さんにも分からないことがあるということが分かりました。」