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【Q&A】相続した空き家の敷地を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除

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【問】

私は、平成28年9月に父より家屋Aと宅地Bを相続しました。家屋Aは、父が昭和55年に自宅として建築した一棟の建物で、宅地Bはその敷地です。父は母が平成26年に死亡後、相続開始直前まで一人で家屋Aに居住しており、父の死亡後、家屋Aはずっと空き家になっており、宅地Bも特に使用していませんでした。
私は平成29年4月中に家屋Aを取壊し、同6月末までに宅地Bを上場会社の(株)Xに対価4,000万円で譲渡する予定ですが、宅地Bの譲渡所得について「相続した空き家の敷地を譲渡した場合の特別控除」(租税特別措置法(措法)35条第3項)の適用を受けられないでしょうか。
なお、父の相続人は私1人であり、父より相続した相続財産の価額から債務の額を控除した残額が基礎控除以下であったため、父の相続に係る相続税は生じていません。また、私は平成29年以降に宅地B以外の不動産の譲渡をする予定はありません。

【回答】

1.結論

あなたは、「相続した空き家の敷地を譲渡した場合の特別控除」(以下「本特例」)の適用要件である、下記2(1)~(3)の要件をすべて満たすことから、同(4)の要件を満たす平成29年(譲渡をした年)分の所得税確定申告書を提出することにより、本特例の適用を受けることができ、宅地Bに係る譲渡所得の金額から最大3,000万円を控除できます。

2.適用要件(措法35条第3項~5項、2項1号、11項)

(1)譲渡者の要件
相続又は遺贈(死因贈与を含む。以下「相続等」)により、(2)①の被相続人居住用家屋と同②の被相続人居住用家屋の敷地等の両方を取得した個人が、本特例の適用対象者となります。

(2)譲渡資産の要件
①被相続人居住用家屋について
次のイ~ハのすべての要件を満たす一の建築物をいいます。
 イ.相続の開始の直前において、被相続人が主として居住の用に供していた家屋であること。
 ロ.昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く。)であること。
 ハ.相続の開始の直前において、被相続人のみが居住していたものであること。
②被相続人居住用家屋の敷地等について
被相続人の相続の開始の直前において、上記①の被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地又は土地の上に存する権利をいいます。

(3)被相続人居住用家屋を取壊した後に、その敷地等を譲渡する場合の"譲渡"に係る要件
①平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に譲渡し、かつ、その被相続人の相続の時から3年を経過する日を含む年の12月31日までの間の譲渡であること。
②相続等により取得した被相続人居住用家屋(次のイの要件を満たすものに限る。)の全部の取壊しをした後、その相続等により取得をした被相続人居住用家屋の敷地等(次のロ及びハの要件を満たすものに限る。)の譲渡をすること。
イ.相続の時から取壊しの時まで事業の用、貸付け(有償・無償を問わない。以下同じ。)の用又は居住の用に供されていたことがないこと。
ロ.相続の時から譲渡の時まで、事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。
ハ.上記イの取壊しの時から譲渡の時まで、建物又は構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。
③対象資産の譲渡について、相続税の取得費加算の特例(措法39条)、固定資産の交換の特例(所得税法58条)等の特例の適用を受けないこと。
④対象資産の譲渡対価が1億円を超えないこと。
⑤本特例の適用対象者の親族や、これらの者と特殊の関係にある会社等に対する譲渡でないこと(措法施行令20条の3第1項、23条第2項)。

(4)申告要件
本特例の適用を受けるためには、その資産の譲渡をした年分の所得税の確定申告書に、市区町村長により被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等が、(2)①イ及びハならびに(3)②の要件を満たすことの確認をした旨を証する書類(「被相続人居住用家屋等確認書」)、その他の書類の添付が必要です(措法施行規則18条の2第2項2号ロ)。
なお、「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受けるための申請の際には、被相続人居住用家  屋の所在市区町村に、被相続人居住用家屋等に係る電気・ガスの閉栓証明書、その家屋の取壊しの時から譲渡の時までの被相続人居住用家屋の敷地等の使用状況が分かる写真等の一定の書類を提出する必要があります。

(参考)国土交通省HP資料5頁

執筆者情報

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山崎 信義

株式会社タクトコンサルティング
税理士法人タクトコンサルティング
情報企画室 室長・税理士・社会保険労務士・CFP®認定者

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2017.05.08 16:34:06