目次 II-7


7.『賃貸割合』の採用による貸家建付地の評価に関連する評価項目への波及

Question
 平成11年7月19日付けの『財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)』(課評2−12他)に基づく改正により、貸家建付地の評価について新たに賃貸割合という概念が採用されましたが、この改正に伴って貸家建付地の評価に関連する他の評価項目の取扱いがどのように変更されたのかについて説明してください。

Answer
 貸家建付地の評価方法の改正に関連して、その評価上の取扱いが変更される項目とその取扱い(変更後の評価方法を示す算式)を、賃貸側と賃借側とに区別して示しますと次のとおりになります。

(1) 賃貸側に係る財産の評価名称とその評価方法
 (イ) 財評通26−2(区分地上権等の目的となっている貸家建付地の評価)

  【算式】 財評通25(貸宅地の評価)から財評通25−3(土地の上に存する権利が競合する場合の宅地の評価)までの定めにより評価したその区分地上権又は区分地上権に準ずる地役権の目的となっている宅地の価額(A) −(A)× 財評通27(借地権の評価)の定めによるその宅地に係る借地権割合 × 財評通94(借家権の評価)に定める借家権割合 × 財評通26(貸家建付地の評価)の定めによるその家屋に係る賃貸割合

 (ロ) 財評通28(貸家建付借地権等の評価)

  【算式】 財評通27(借地権の評価)若しくは財評通27−6(土地の上に存する権利が競合する場合の借地権等の評価)の定めにより評価したその借地権の価額又は財評通27−2(定期借地権等の評価)若しくは財評通27−6の定めにより評価したその定期借地権等の価額(A) −(A)× 財評通94(借家権の評価)に定める借家権割合 × 財評通26(貸家建付地の評価)の定めによるその家屋に係る賃貸割合

  (ハ) 財評通30(転借権の評価)
   ・貸家建付転借権の評価
  【算式】 財評通27(借地権の評価)又は財評通27−6(土地の上に存する権利が競合する場合の借地権等の評価)の定めにより評価したその借地権の価額 × 左の借地権の評価の基とした借地権割合 −(A)× 財評通94(借家権の評価)に定める借家権割合 × 財評通26(貸家建付地の評価)の定めによるその家屋に係る賃貸割合
(A)

 (ニ) 財評通87−7(占用の許可に基づき所有する家屋を貸家とした場合の占用権の評価)

  【算式】 財評通87−5(占用権の評価)の定めにより評価したその占用権の価額 −(A)× 財評通94(借家権の評価)に定める借家権割合 × 財評通26(貸家建付地の評価)の定めによるその家屋に係る賃貸割合

 (ホ) 財評通93(貸家の評価)

  【算式】 財評通89(家屋の評価)又は財評通92(附属設備等の評価)の定めにより評価したその家屋の価額 −(A)× 財評通94(借家権の評価)に定める借家権割合 × 財評通26(貸家建付地の評価)の定めによるその家屋に係る賃貸割合

(2) 賃借側に係る財産の評価名称とその評価方法
 (イ) 財評通31(借家人の有する宅地等に対する権利の評価)

  (a)  その権利が借家の敷地である宅地又はその宅地に係る借地権に対するものである場合の評価
  【算式】 財評通27(借地権の評価)又は財通表27−6(土地の上に存する権利が競合する場合の借地権等の評価)の定めにより評価したその借家の敷地である宅地に係る借地権の価額 × 財評通94(借家権の評価)の定めによるその借家に係る借家権割合 × 財評通94(借家権の評価)の定めによるその家屋に係る賃借割合

  (b)  その権利がその借家の敷地である宅地に係る転借権に対するものである場合の評価
  【算式】 財評通30(転借権の評価)の定めにより評価したその借家の敷地である宅地に係る転借権の価額 × 財評通94(借家権の評価)の定めによるその借家に係る借家権割合 × 財評通94(借家権の評価)の定めによるその家屋に係る賃借割合

 (ロ) 財評通94(借家権の評価)

  【算式】 財評通89(家屋の評価)又は財評通92(附属設備等の評価)の定めにより評価したその借家権の目的となっている家屋の価額 × 借家権
割 合
(注1)
× 賃 借
割 合

(注2)
   (注1) 借家権割合は、国税局長の定める割合によります。
   (注2) 賃借割合は、次の算式により計算した割合によります。
Aのうち賃借している各独立部分の床面積の合計

当該家屋の各独立部分の床面積の合計(A)

 

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