目次 II-8


8.賃貸アパートに付帯する駐車場敷地の評価区分

Question
 私の父が所有する賃貸アパートにはその敷地内に駐車場(父所有)があり、駐車場の利用者は全てアパートの賃借人となっています。このアパートの賃貸借契約は、アパートの各室について賃借人と締結するほか、駐車場についても月極めで駐車料を徴収しています。このような場合における賃貸アパート及び駐車場の敷地はどのように評価しますか。

Answer
 駐車場の用に供されている土地は原則として雑種地として評価することとなりますが、事例のように宅地(建物の敷地の用に供されている土地)に接続している場合には駐車場の用に供されている土地についても宅地として評価することとなります。(評価地目)

 また、評価態様についても貸駐車場の用に供されている土地は、自用地として評価することを原則としますが、事例のようにたとえ賃貸アパートの契約とは別個に契約されるとしても、当該貸駐車場がアパートに隣接していること(図(1))及び駐車場の利用者がアパートの入居者とされていること等、駐車場の貸付けの状況は、事実上はアパートの賃貸借と一体のものであると考えられますので、この場合はアパート及び駐車場の全体で一利用単位と考えて、その敷地全体を貸家建付地として評価することができるものと思われます。

(図(1))貸駐車場部分が賃貸アパートに隣接している場合
(図(1))貸駐車場部分が賃貸アパートに隣接している場合

 なお、上記のアパート及び駐車場の敷地全体を一利用単位として取り扱うための要件を充足していない場合、例えば、貸駐車場がアパートとは道路(アパート入居者専用の通路等のようなものではない、ある程度の公共性を有する道路)を挟んで隔たった場所に存するとき(図(2))又は貸駐車場の利用者にアパートの入居者とその他の者が混在しているときは、当該賃貸アパートの敷地と当該駐車場の敷地との間には物理的・有機的一体性が認められないので、当該貸駐車場の敷地は、その全体を自用地として評価することになると考えられます。(この場合、貸駐車場の利用者を賃貸アパートの入居者と非入居者とに区分して、前者に係る部分を貸家建付地、後者に係る部分を自用地として、それぞれ面積等によりあん分して評価することも、その考え方に合理性がないとされ(入居者専用の駐車場としての一体性の観点から)、認められないものと考えられます。)

(図(2))貸駐車場部分が賃貸アパートに隣接していない場合
(図(2))貸駐車場部分が賃貸アパートに隣接していない場合

 

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