目次 II-9


9.テナントビルの駐車場部分に対応する土地の評価区分

Question
 当社は下図のようなテナントビルを所有しており、1階から8階まではすべて賃貸の用に供しています。(課税時期における入居率は100%です。)
 地下部分に設置されている駐車場(地下1階及び地下2階)の利用の形態が、次の(ケース1)と(ケース2)とでは、このテナントビルの敷地の用に供されている土地の評価はどのように異なりますか。


 (ケース1) 地下駐車場をテナントのみに貸し付けている場合(テナント以外の外部者の一時的(時間極め)利用が認められない場合)
 (ケース2) 地下駐車場を時間極め駐車場として一般にも利用させている場合


Answer
 建物(ビル)形式の駐車場の敷地の用に供される土地(評価上の地目は宅地)の評価区分に関する原則的な取扱い、上記(ケース1)及び(ケース2)の事例に対する取扱いをまとめると次のとおりとなります。

(イ) 評価区分に関する原則的な取扱い
 建物(ビル)形式の駐車場については、たとえ貸付けの用に供されている場合であっても「スペース貸し」であると考えられ、借地借家法に規定する借家に係る保護規定の対象である貸家には該当しません。
 したがって、このような駐車場部分に対応する建物の敷地の評価区分は自用地として取り扱う(すなわち、貸家建付地としては評価できない)のが原則です。((ロ)が、この原則に対する例外の配慮規定です。)

(ロ) 駐車場をテナントのみに貸し付けている場合(ケース1)
 テナントのみが利用する駐車場であれば、実質上のテナントビルと駐車場との貸付契約の一体性等も考慮すると、当該駐車場部分は、テナントビルの階段やエレベーターホール等の共用部分と同様に取り扱うのが相当と考えられますので、(ケース1)の場合には、(イ)の取扱いにかかわらず、駐車場部分も含めてこのテナントビルの敷地全体を貸家建付地として評価することができるものと思われます。

(ハ) 駐車場を時間極めで一般にも利用させている場合(ケース2)
 駐車場を時間極めで一般にも利用させている場合には、当該駐車場部分は(ロ)のように建物の共用部分であるとは考えられず、(イ)による原則的な取扱いによることになります。したがって、駐車場部分に対応する敷地部分の土地は自用地として評価することとなります。

 

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