目次 I-3


I−3 企業会計との違い−その2

Question
あらましはよくわかりました。もう少し詳しく企業会計との相違を教えてください。


Answer

 I−2に示した相違の表をもとに説明をしてみましょう。
 企業会計とNPO法人会計とで大きく相違するのは次の点です。


1 予算準拠主義

 NPO法人会計では予算を編成し(すなわち事業の計画を立て)、それを執行する(すなわち活動を実施する)ことが要求されています。企業会計では予算を立てることは要求されておらず、任意に立てられています。


2 減価償却

 企業会計では収益費用対応の原則から、固定資産の取得価額は耐用年数にわたって減価償却費として費用化されますが、NPO法人会計では強制されていません。これは非営利組織の減価償却の必要性については賛否両論あるからですが、近年の傾向として非営利組織であっても社会福祉法人会計基準のように減価償却が強制されてきています。減価償却を実施する場合には、企業会計のような収益費用の対応という観点からというよりは、将来固定資産を取り替えるための資金の留保の観点、または適正な財産価値の表示の観点からなされることになり、減価償却についての理論が企業会計とは異なります。

 ただしこれは典型的な非営利活動のみを行っている法人の場合であって、営利企業のような独立採算型、資金獲得型の活動を行っているNPO法人の場合には減価償却を行うことが望まれます。


3 利益処分

 企業では株主は投資に対する見返りとして配当を期待していますので、剰余金について利益処分が行われますが、NPO法人では剰余金は外部に流出することなく、次期以降の活動にあてられます。

 

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