目次 I-2


I−2 企業会計との違いーその1

Question
NPO法人の会計と企業会計との違いを教えてください。


Answer

 企業は一般に株主その他から得た資金を使って、利益を獲得することが期待されています。したがって企業会計では、利益の源泉となる収益とそれに費やした費用に関する報告、すなわち損益計算書に多くの関心が向いています。

 一方、非営利組織においては、剰余金を蓄積すること自体は目的ではなく、活動のために受け取った資金とその資金の使途、すなわち資金の流れに関心が向いています。したがって伝統的に損益計算書に相当するものは作成されず、後述しますが、「資金」の動きを記載した収支計算書が作成されます。ただし、学校法人や社会福祉法人では損益計算書に相当する計算書も作成されています。

 企業及び代表的な非営利組織が作成する計算書類の相違点の概略を対比してみましょう。

他の法人との決算書類等の相違
企  業 公益法人 社会福祉法人 NPO法人
貸借対照表
「資本」
貸借対照表
「正味財産」
貸借対照表
「純財産」
貸借対照表
「正味財産」
損益計算書
「収益と費用・損失」
収支計算書 資金収支計算書 収支計算書
連結キャッシュフロー計算書   事業活動収支
計算書
 
利益処分計算書    
  正味財産増減
計算書
 
  財  産  目  録
  収 支 予 算 書
上場企業: 公開と公認会計士監査
大法人 : 公認会計士監査
(資本金5億円負債200億円)
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証券取引法商法 公益法人会計基準(内閣総理大臣官房管理室が事務局となった公益法人監督事務連絡協議会)、公益法人の設立許可及び指導監督基準(閣議決定) 社会福祉法人会計基準(社援第310号)  
 (注)1  「 」書きの用語は特徴的に異なる用語です。
 (注)2  学校法人は公認会計士監査。学校法人会計基準(文部省令18号)
 (注)3  公益法人会計基準は現在見直しが検討されています。

 

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