退職とは、労働者が職を退くことをいいます。退職には、自己都合退職など労働者の意志に基づく任意退職と、定年、雇用期間満了、労働者の死亡など労働者の意思とは関係なく生じる当然退職があります。 任意退職とは 労働者自身の都合で退職するというもので、その事情はさまざまです。民法上では、期間の定めのない労働契約については、労働者は何時でも退職の申し出ができ、原則として申し出後2週間が経過すれば、退職の効果が生じるとされています。 当然退職とは 労働者の意思とは関係なく、定年・雇用期間満了・労働者自身の死亡等の理由で退職する場合をいいます。ここでは、定年について説明します。 ▲定年 労働者が一定の年齢に達したときに労働契約が終了することを定めた制度を定年制といいます。通常、定年制は就業規則などに定められていますが、各企業によってその取り決めはさまざまです。 しかしながら、「高年齢者等の雇用の安定に関する法律」第4条では、事業主が労働者の定年の定めをする場合には、「当該定年は、60歳を下回ることはできない」と定められています。さらに、その雇用する労働者がその定年(65歳未満のものに限る)後も事業主に引き続いて雇用されることを希望するときは、当該定年から65歳に達するまでの間その労働者を雇用するように努めることを求めています。このように高齢者の就業の確保などに努めた事業主は助成金を受給できる可能性があります。
また、定年について就業規則などで、雇用契約が自動的に終了することが明確にされており、このことが労働者に周知徹底されている場合は、労働基準法第19条による解雇制限や第20条による解雇予告の適用はうけません。しかし、企業によっては、就業規則等により、「定年後の再雇用について会社が認めた場合は嘱託として再雇用する場合がある」などと定められている場合があります。このような場合においては、定年後引き続き雇用するかどうかは労働者に明確にしておく必要があるでしょう。再雇用しない場合は、後のトラブルを防ぐ意味でも、書面にてその旨を表示する(実質は解雇予告をする)ほうがよいでしょう。 退職時の留意点 退職に関する事項については、就業規則には必ず記載せねばならない「絶対的必要記載事項」とされています。法律上では、期間の定めのない労働契約の場合、労働者はいつでも退職の申出ができるとされていますが、退職に関してはさまざまな手続きをせねばなりません。また、労働者本人に確認しておかねばならない事項もあるでしょう。このようなことから退職の申出についても、就業規則に定めておくことが一般的です。ただし、申出の期間についてあまりにも長い期間を定めることは、労働者の退職を制限されるととられる場合があり、無効とされることがあるので注意が必要です。また、退職の申出は、口頭でもその効果を生じますが、後のトラブルを防ぐためにも社内様式を定めておく方がよいでしょう。 |