4.《外国子会社配当益金不算入制度》海外子会社からの配当に課税されない
(12/10/01)
●親会社は外国でかかる税金を損益算入できない
間接外国税額控除が廃止されたため、
外国子会社に課される法人税については、国際的二重課税の調整は一切行われないことになりました。
また、
外国子会社配当益金不算入制度の適用を受ける配当にかかる外国源泉税については、日本の親会社において全額が損金不算入とされ、外国税額控除制度の対象にもならないこととされています。
したがって、外国子会社にかかる外国法人税と外国子会社からの配当にかかる外国源泉税はキャッシュアウトを伴う純粋なコストとなります。
たとえば、フィリピンにおいては、原則として法人税が30%の税率で課されるとともに、日本の親会社に支払う配当に対して一定の条件の下で税率10%の源泉税が課されます。
外国子会社配当益金不算入制度が適用される場合には、フィリピンで課されるこれらの税金は、日本の親会社にとって取り戻すことのできないコストとなります。
具体的に数値例で説明しますと、フィリピンの子会社が100の利益を得た場合、フィリピンで30の法人税がかかり、残り70をすべて日本の親会社に配当すると、さらにフィリピンで7の源泉税がかかります。
さらに日本においては、配当70の95%相当額66.5は免税とされますが、5%相当額3.5に対しては約40%の税率で1.4の法人税等が課されます。
したがって、日本の税負担割合はわずか1.4%ですが、フィリピンで法人税30と源泉税7が課されるため、フィリピン子会社の所得に対する日本とフィリピンの
トータルの税負担割合は38.4%となります。
法人税率や源泉税率は国によって異なり、配当に対しては源泉税をまったく課さない国もあります。
外国子会社の設立にあたっては、外国でかかるこれらの税金についても事前に検討することが重要です。