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輸出者として輸出免税の適用を受けることができると裁決

 輸出業を営む法人の輸出取引が、本邦からの輸出として行われる資産の譲渡であるか否かつまり輸出免税等の適用があるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、輸出許可の申請や輸出許可通知書の保存状況から、輸出免税の適用を受けることができると判断、原処分庁側の主張を斥けた。

 この事件は、日用雑貨等の販売及び輸出入等を目的として設立された法人(審査請求人)が、商品仕入れに係る消費税等の額を仕入税額控除の対象として確定申告をする一方、法人税等の各更正の請求及び欠損金の繰戻しによる還付請求をしたのが発端。

 これに対して原処分庁が、①商品仕入れの一部は架空に計上されたものである、②商品仕入れについて仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合に該当すると判断、消費税等について更正処分及び重加算税の賦課決定処分、また法人税について青色申告の承認の取消事由があると判断、青色申告の承認の取消処分をするとともに、各更正の請求及び還付請求に理由がない旨の通知処分をしてきたわけだ。

 そこで法人側が、①商品仕入れの金額は正当であり架空計上の事実はない、②仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等の保存がある、さらに③法人税の青色申告の承認の取消事由に該当しないなどと主張して、原処分の一部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 原処分庁側は、輸出取引は、審査請求人から商品を仕入れた取引先が国外に販売したものであるから、請求人が消費税法7条(輸出免税等)1項1号に規定された本邦からの輸出として行われる資産の譲渡を行ったものではない旨主張して、審査請求の棄却を求めた。

 これに対して裁決は、請求人は取引先から受注した商品を国内でコンテナに積載し、自らの名義で輸出許可を申請して国外へ搬出しているのであるから、輸出取引は、請求人による本邦からの輸出として行われる資産の譲渡であると認定。その上で、請求人は請求人名義の輸出許可通知書を保存していることから、請求人において輸出免税の適用を受けることができると判断、原処分庁側の主張を斥けた。

 ただし、①仕入れの金額が過大に計上されたものであるか否か、②仕入れに係る帳簿及び請求書等を保存しない場合に当たるか否か、③仕入れの金額を課税仕入れに係る支払対価の額に含めて申告したことに「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があるか否か、④青色申告の承認の取消事由があるか否か、⑤法人税等の各更正の請求は、通則法が定める更正の請求の事由に該当するか否か、さらに⑥繰戻還付請求は認められるか否か――の争点については、法人側の主張がことごとく斥けられ、結果的に一部取消しという裁決内容になった。

(22.10.25、国税不服審判所)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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2023.09.04 16:05:28