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日本チェーンストア協会 軽減税率の廃止を要望 インボイスは「取引の障壁」

 日本チェーンストア協会(会長・三枝富博イトーヨーカ堂会長)は7月25日、2024年度税制改正要望を関係省庁に提出した。消費税に関して、軽減税率制度と総額表示義務の廃止や、今年10月に導入されるインボイス(適格請求書)制度の一部見直しを求めた。
 消費税の軽減税率(8%)は、19年10月に税率が10%に引き上げられた際、テイクアウトや宅配サービスを含む飲食料品や新聞などに適用された。主に生活必需品が対象で、生活への負担増に配慮した。
 除外されたのは、外食やケータリング、酒類、医薬品や医薬部外品。おもちゃ付きのお菓子は、税抜き価格が1万円以下で食品の割合が3分の2以上の場合に限り、全体が軽減税率の対象となるなど、複雑な線引きが小売り事業者の悩みの種となっている。購入商品を店内で飲食する場合も「外食」と扱われてしまう問題もあった。
 協会は「消費者の生活利便や事業者における創意ある商品・サービスの提供に影響し、効率的で公正な実施が困難で問題の多い制度」とし、廃止もしくは抜本的な見直しを求めた。さらに、価格と消費税額の総額表示義務は、事業者自らが適切な方法を選択できるように廃止すべきだと改めて強調した。
 インボイス制度については、免税事業者との取引で消費税の仕入れ税額控除ができないことが「今後の取引の障壁となり得る」と指摘。政府は10月の導入後、免税事業者の取引で26年10月までは消費税額の8割、29年10月までは5割を控除できる経過措置を設けたが、全額控除を可能とする措置を再度求めた。
 銀行の振込手数料のような少額取引についてもインボイスの保存が必要だが、支払った額が1万円未満の場合、インボイスでなく従来の帳簿保存方式での控除が、導入後6年間認められている。
 ただ、2年前の課税売上高が1億円以下など一定の事業規模以下に限られるため、「事業者の規模にかかわらず一律にインボイス不要とし、経過措置を恒久的措置としてほしい」と過剰な事務負担の軽減を訴えた。
 他に経済を確実に再生させる1999~2007年の所得税と住民税の定率減税などの復活、電気・ガス代高騰への支援措置、人手不足対策としてのデジタル化への投資優遇税制などを求めている。

提供元:エヌピー通信社

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 日本チェーンストア協会(会長・三枝富博イトーヨーカ堂会長)は7月25日、2024年度税制改正要望を関係省庁に提出した。消費税に関して、軽減税率制度と総額表示義務の廃止や、今年10月に導入されるインボイス(適格請求書)制度の一部見直しを求めた。 消費税の軽減税率(8%)は、19年10月に税率が10%に引き上げられた際、テイクアウトや宅配サービスを含む飲食料品や新聞などに適用された。主に生活必需品が対象で、生活への負担増に配慮した。 除外されたのは、外食やケータリング、酒類、医薬品や医薬部外品。おもちゃ付きのお菓子は、税抜き価格が1万円以下で食品の割合が3分の2以上の場合に限り、全体が軽減税率の対象となるなど、複雑な線引きが小売り事業者の悩みの種となっている。購入商品を店内で飲食する場合も「外食」と扱われてしまう問題もあった。 協会は「消費者の生活利便や事業者における創意ある商品・サービスの提供に影響し、効率的で公正な実施が困難で問題の多い制度」とし、廃止もしくは抜本的な見直しを求めた。さらに、価格と消費税額の総額表示義務は、事業者自らが適切な方法を選択できるように廃止すべきだと改めて強調した。 インボイス制度については、免税事業者との取引で消費税の仕入れ税額控除ができないことが「今後の取引の障壁となり得る」と指摘。政府は10月の導入後、免税事業者の取引で26年10月までは消費税額の8割、29年10月までは5割を控除できる経過措置を設けたが、全額控除を可能とする措置を再度求めた。 銀行の振込手数料のような少額取引についてもインボイスの保存が必要だが、支払った額が1万円未満の場合、インボイスでなく従来の帳簿保存方式での控除が、導入後6年間認められている。 ただ、2年前の課税売上高が1億円以下など一定の事業規模以下に限られるため、「事業者の規模にかかわらず一律にインボイス不要とし、経過措置を恒久的措置としてほしい」と過剰な事務負担の軽減を訴えた。 他に経済を確実に再生させる1999~2007年の所得税と住民税の定率減税などの復活、電気・ガス代高騰への支援措置、人手不足対策としてのデジタル化への投資優遇税制などを求めている。提供元:エヌピー通信社
2023.08.17 16:01:58