HOME ニュース一覧 生産緑地の9割が特定生産緑地に指定され優遇税制継続

税ニュース

生産緑地の9割が特定生産緑地に指定され優遇税制継続

 国土交通省は2月14日、昨年8月~12月にかけて地方公共団体向けに実施した調査の結果、昨年末時点で、平成4年に定められた生産緑地(9273ha)の約9割(8282ha)が特定生産緑地に指定されていたことを公表した。

 都市農地の保全・活用を目的とする生産緑地は、市街化区域内農地が対象で、1)500平方メートル以上(市区町村が条例を定めれば300平方メートルまで引下げ可能)の一団の農地、2)公共施設等の敷地として適する、3)農業等の継続が可能、等が指定要件。市区町村から指定されると、固定資産税の軽減措置(宅地並み課税より軽い農地課税の適用)や相続税の納税猶予が適用される。その一方、温室や農業用倉庫、直売所、農家レストラン等の農業関連施設を除き、建築等の行為は制限されている。

 生産緑地制度では、指定後30年を経過すると、所有者が市区町村に対し生産緑地の買取りを申し出できる仕組みになっている。申し出に対し市区町村が買い取らず、農業等に従事する購入希望者もいなかった場合、建築制限等は解除されるが税の優遇措置もなくなる。以後、三大都市圏特定市の場合、相続税の納税猶予はなくなり(既に納税猶予を受けているときは次の相続までは現世代に限り猶予を継続)、固定資産税は農地課税から宅地並み課税に変わる(激変緩和措置として5年間は年ごとの軽減率が適用)。

 平成4年(1992年)に指定された生産緑地は全生産緑地面積の8割を占めていることから、30年経過となる昨年は、買い取り不調による税の優遇措置の期限切れを機に、宅地として売却する農家が続出する恐れが想定されていた。

 そこで、市区町村が所有者の意向を基に、その生産緑地を特定生産緑地として指定でき、指定した場合、買取り申し出は30年経過後から10年延期され、10年経過後は改めて所有者の同意を得て、繰り返し10年の延長ができる特定生産緑地制度が平成30年4月に施行されていた。

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

この記事のカテゴリ

関連リンク

空き地・空き家対策の100万円特別控除を見直し・延長

税務・会計に関する情報を毎週無料でお届けしています!

メルマガ登録はこちら


税ニュース
/news/tax/2023/img/img_news_01_s.jpg
 国土交通省は2月14日、昨年8月~12月にかけて地方公共団体向けに実施した調査の結果、昨年末時点で、平成4年に定められた生産緑地(9273ha)の約9割(8282ha)が特定生産緑地に指定されていたことを公表した。 都市農地の保全・活用を目的とする生産緑地は、市街化区域内農地が対象で、1)500平方メートル以上(市区町村が条例を定めれば300平方メートルまで引下げ可能)の一団の農地、2)公共施設等の敷地として適する、3)農業等の継続が可能、等が指定要件。市区町村から指定されると、固定資産税の軽減措置(宅地並み課税より軽い農地課税の適用)や相続税の納税猶予が適用される。その一方、温室や農業用倉庫、直売所、農家レストラン等の農業関連施設を除き、建築等の行為は制限されている。 生産緑地制度では、指定後30年を経過すると、所有者が市区町村に対し生産緑地の買取りを申し出できる仕組みになっている。申し出に対し市区町村が買い取らず、農業等に従事する購入希望者もいなかった場合、建築制限等は解除されるが税の優遇措置もなくなる。以後、三大都市圏特定市の場合、相続税の納税猶予はなくなり(既に納税猶予を受けているときは次の相続までは現世代に限り猶予を継続)、固定資産税は農地課税から宅地並み課税に変わる(激変緩和措置として5年間は年ごとの軽減率が適用)。 平成4年(1992年)に指定された生産緑地は全生産緑地面積の8割を占めていることから、30年経過となる昨年は、買い取り不調による税の優遇措置の期限切れを機に、宅地として売却する農家が続出する恐れが想定されていた。 そこで、市区町村が所有者の意向を基に、その生産緑地を特定生産緑地として指定でき、指定した場合、買取り申し出は30年経過後から10年延期され、10年経過後は改めて所有者の同意を得て、繰り返し10年の延長ができる特定生産緑地制度が平成30年4月に施行されていた。提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2023.02.22 16:15:21