固定資産税 原発事故での評価減額を認定 事故から12年 ようやく確定
東京電力福島第1原発事故で廃業したゴルフ場の固定資産税算出を巡る訴訟で、最高裁第2小法廷(尾島明裁判長)は1月5日までに、市側の上告を受理しないことを決めた。市に違法な評価額を取り消すよう命じた二審判決が確定した。
原発から30キロの位置にあった福島県いわき市のゴルフ場「いわきプレステージカントリー倶楽部」は、震災発生の2011年3月11日から営業ができなくなってしまったが、いわき市は、事故前と変わらぬ固定資産税評価額2億円をつけ、それを基にした固定資産税を課していた。ゴルフ場が16年に減額処分の適用を訴えて提訴したところ、福島地裁は「利用者数に依存する建物の需要が休業中は見込めず、市場評価額も低下している」として、ほぼ全額の課税取り消しを命じ、二審も支持していた。クラブハウスなどの評価額をいわき市は約1億900万円としていたが、二審判決では適正な評価額を約1400万円とし、それを上回る額については取り消すよう市に命じた。市は、判決内容が過去に最高裁が示した判断と食い違いがあるとして上告していたが、不受理となった。
固定資産税は既に納付されており、市は約1400万円の評価額を超える金額について速やかに還付作業に入るという。内田広之市長は「決定を真摯に受け止め、適正な評価に努めてまいりたい」とのコメントを発表した。
事故から約12年を経てようやく納税者側の勝訴が確定したかたちだが、当事者であるゴルフ場はすでに廃業し、遅きに失した感も否めない。
提供元:エヌピー通信社