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消費税の不正還付の追徴税額が111億円と前年度227%増に

 国税庁は、税目別の調査の中でも預り金的な性格を持ち、国民からも注視されている消費税について、調査体制を強化するなどにより不正の解明や防止に力を注いでいる。先に公表された令和3事務年度法人消費税の調査事績によると、同事務年度の法人税との同時調査及び単独調査を含めた消費税の実地調査件数は4万件(前事務年度2.5万件)で、2.4万件(同1.6万件)から非違を把握してその追徴税額は869億円に達し、非違件数は1.5倍、追徴税額も2割ほど増加している。

 非違件数のうち8千件が故意に所得を隠すなどによる不正を行っていて、その追徴税額は309億円と74%も前事務年度より増えている。1件あたりの追徴税額では331万円から408万円に増加した。

 そして、消費税の不正の中でも国税当局が近年特に目を光らせているのが不正還付だ。不正還付に対しては、国庫金の詐欺とも言える悪質性の高い行為と位置づけ、不正還付の対応に特化した「消費税専門官」を国税局・税務署に配置するとともにその規模を拡大している。また、還付申請に対してはこれまで以上に内容を精査しており、今年に入り還付までの期間が長くなることを納税者に周知した上で不正防止に努めている。

 令和3事務年度の消費税還付申告法人に対する調査では、4252件の実地調査を行い2877件から非違を把握しており、追徴税額は不正還付分が34億円から111億円と大幅に増加して総額も372億円におよぶ。不正1件当たりの追徴税額は1408万円と前事務年度の倍以上の増加となっている。

 また、追徴税額を国税局別に見ると、福岡国税局が全体の4割を占めた。これは、国内仕入れ(課税)及び輸出売上げ(免税)を水増し計上し約25億円の消費税を不正に還付した事案が含まれているため。

 この事案の法人は、国内での仕入れ(課税)及び国外への売上げ(免税)を水増し計上する方法により、多額の消費税還付金を記載した消費税の確定申告書を提出し、不正に消費税の還付を受けようとしていた。しかし、国税当局ではⅩ国の税務当局に対して租税条約等に基づく情報交換要請を行い、調査法人が保有していた輸出許可書に記載のある価格が、Ⅹ国に所在する売上先が保有していた輸入許可書に記載のある価格より過大であることを把握して事案が解明されている。

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 国税庁は、税目別の調査の中でも預り金的な性格を持ち、国民からも注視されている消費税について、調査体制を強化するなどにより不正の解明や防止に力を注いでいる。先に公表された令和3事務年度法人消費税の調査事績によると、同事務年度の法人税との同時調査及び単独調査を含めた消費税の実地調査件数は4万件(前事務年度2.5万件)で、2.4万件(同1.6万件)から非違を把握してその追徴税額は869億円に達し、非違件数は1.5倍、追徴税額も2割ほど増加している。 非違件数のうち8千件が故意に所得を隠すなどによる不正を行っていて、その追徴税額は309億円と74%も前事務年度より増えている。1件あたりの追徴税額では331万円から408万円に増加した。 そして、消費税の不正の中でも国税当局が近年特に目を光らせているのが不正還付だ。不正還付に対しては、国庫金の詐欺とも言える悪質性の高い行為と位置づけ、不正還付の対応に特化した「消費税専門官」を国税局・税務署に配置するとともにその規模を拡大している。また、還付申請に対してはこれまで以上に内容を精査しており、今年に入り還付までの期間が長くなることを納税者に周知した上で不正防止に努めている。 令和3事務年度の消費税還付申告法人に対する調査では、4252件の実地調査を行い2877件から非違を把握しており、追徴税額は不正還付分が34億円から111億円と大幅に増加して総額も372億円におよぶ。不正1件当たりの追徴税額は1408万円と前事務年度の倍以上の増加となっている。 また、追徴税額を国税局別に見ると、福岡国税局が全体の4割を占めた。これは、国内仕入れ(課税)及び輸出売上げ(免税)を水増し計上し約25億円の消費税を不正に還付した事案が含まれているため。 この事案の法人は、国内での仕入れ(課税)及び国外への売上げ(免税)を水増し計上する方法により、多額の消費税還付金を記載した消費税の確定申告書を提出し、不正に消費税の還付を受けようとしていた。しかし、国税当局ではⅩ国の税務当局に対して租税条約等に基づく情報交換要請を行い、調査法人が保有していた輸出許可書に記載のある価格が、Ⅹ国に所在する売上先が保有していた輸入許可書に記載のある価格より過大であることを把握して事案が解明されている。提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2022.12.13 15:56:04