新興企業の育成促進 エンジェル税制を簡素化 27年度の投資総額10兆円へ
岸田政権が看板政策に掲げる「新しい資本主義」の実現に向け、政府は11月28日、「スタートアップ(新興企業)育成5カ年計画」を正式決定した。スタートアップ企業への投資額を2027年度に10兆円規模にし、将来的に10万社を創出する目標を掲げた上で、企業への投資を促すための関連税制見直しも盛り込まれた。
現行制度では、スタートアップ企業への投資促進を目的とした税優遇として、投資段階とその企業の株式売却段階で税の優遇措置を受けられるエンジェル税制などがある。個人投資家が出資のために保有している株を売却して投資をすると、投資額から2000円を引いた額がその年の総所得金額から控除されるか、投資額全額を株式譲渡益から控除される優遇措置を選択できる制度だ。策定された計画では、このエンジェル税制について、「手続きの簡素化・オンライン化を検討する」などと記された。
また、企業の創業者個人が資金供給をする際に保有する株式を売却して投資する場合に優遇措置を受けられるような税制の整備も方針に明記。ベンチャー企業などが役員や従業員に報酬や賞与として、あらかじめ決めた価格で自社株を購入できる権利を与える「ストックオプション制度」については、柔軟にストックオプションを付与するケースが多いアメリカの例を挙げた上で、ルールを明確化するとした。また、ストックオプション税制の権利行使期間の延長を図ることが盛り込まれた。
岸田文雄首相は、28日に開かれた新しい資本主義実現会議で、「人材、資金供給、オープンイノベーションの3本柱を一体として推進する」と述べた。計画を踏まえて来年6月にフォローアップをし、実行計画へ改定する。
提供元:エヌピー通信社