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手口は単純でも、大胆な手口で虚偽過少申告の意図は明白と判示

 学校法人の理事長だった者が、同法人の関係業者等から受領したリベート収入等を除外して所得税等の申告をしたことが所得税法違反に該当するか否かの判断が争われた事件で東京地裁(野原俊郎裁判長)は、その手口は単純ではあるものの、大胆な手口で虚偽過少申告の意図が明白、かつ動機が身勝手で酌量すべき事情はないと判示、懲役1年及び罰金1300万円に処するとともに、3年間の執行猶予付きの判決を言い渡した。

 この事件は、我が国最大規模の教育機関である学校法人の理事長であった者が、 自ら主導し、同学校法人の全額出資によって設立された会社を通じて同学校法人での各種業務を受注している関係業者等から、これらの取引で利益を得ていることへの謝礼等の趣旨で多額の現金を受け取っていたにもかかわらず、これを殊更に所得金額から除外して確定申告を行い、2年分の所得税を免れていたことから、期限内虚偽過少申告逋脱事案として告発・立件された事案である。

 具体的には、関係業者等から受領したリベート収入等を除外することで、 実際の所得金額よりも殊更過少な所得金額で所得税等の確定申告をする方法により所得を秘匿して自己の所得税を免れようと企て、財務省令で定めるいわゆる電子情報処理組織を使用して行う方法により、還付を受けることとなる旨の虚偽の確定申告をしてそのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、2年分で5000万円を優に超える所得税額を免れていたことから告発・立件されたわけだ。

 この期限内虚偽過少申告逋脱事案に対して判決はまず、逋脱所得額は合計1億1820万円、逋脱税額は計5233万円余りに上り、金額的にも少なくないと指摘するとともに、犯行態様を見ると、受領した現金を自宅で保管するなどした他、妻にこれを所得金額から除外して確定申告を行うよう指示した上で税理士事務所への対応をさせているとも指摘、除外の手口は単純ではあるが、大胆な手口で虚偽過少申告の意図は明白であると認定した。

 また、過去の税務調査で申告漏れを指摘されたことがあり、謝礼等を所得として申告する必要性を十分認識していたのに、関係業者から謝礼等を受け取っていたことが表沙汰となるのを避けたいなどと考え、これを隠蔽するために及んだものであって、 動機は身勝手で酌量すべき事情はなく、適正な申告納税制度への社会的信頼に与えた影響も軽視できないと判示した。

 ただ、事実を認めて修正申告を行って所得税を納付し、この事件を契機に学校法人関連の役職を全て辞していること、さらに前科がないことなどから、結果的に、執行猶予付きの懲役刑、罰金刑を課す判決内容となった。

(2022.04.03.39東京地裁刑事第8部宣告令、令和3年特第2942号)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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12月1日更新

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 学校法人の理事長だった者が、同法人の関係業者等から受領したリベート収入等を除外して所得税等の申告をしたことが所得税法違反に該当するか否かの判断が争われた事件で東京地裁(野原俊郎裁判長)は、その手口は単純ではあるものの、大胆な手口で虚偽過少申告の意図が明白、かつ動機が身勝手で酌量すべき事情はないと判示、懲役1年及び罰金1300万円に処するとともに、3年間の執行猶予付きの判決を言い渡した。 この事件は、我が国最大規模の教育機関である学校法人の理事長であった者が、 自ら主導し、同学校法人の全額出資によって設立された会社を通じて同学校法人での各種業務を受注している関係業者等から、これらの取引で利益を得ていることへの謝礼等の趣旨で多額の現金を受け取っていたにもかかわらず、これを殊更に所得金額から除外して確定申告を行い、2年分の所得税を免れていたことから、期限内虚偽過少申告逋脱事案として告発・立件された事案である。 具体的には、関係業者等から受領したリベート収入等を除外することで、 実際の所得金額よりも殊更過少な所得金額で所得税等の確定申告をする方法により所得を秘匿して自己の所得税を免れようと企て、財務省令で定めるいわゆる電子情報処理組織を使用して行う方法により、還付を受けることとなる旨の虚偽の確定申告をしてそのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、2年分で5000万円を優に超える所得税額を免れていたことから告発・立件されたわけだ。 この期限内虚偽過少申告逋脱事案に対して判決はまず、逋脱所得額は合計1億1820万円、逋脱税額は計5233万円余りに上り、金額的にも少なくないと指摘するとともに、犯行態様を見ると、受領した現金を自宅で保管するなどした他、妻にこれを所得金額から除外して確定申告を行うよう指示した上で税理士事務所への対応をさせているとも指摘、除外の手口は単純ではあるが、大胆な手口で虚偽過少申告の意図は明白であると認定した。 また、過去の税務調査で申告漏れを指摘されたことがあり、謝礼等を所得として申告する必要性を十分認識していたのに、関係業者から謝礼等を受け取っていたことが表沙汰となるのを避けたいなどと考え、これを隠蔽するために及んだものであって、 動機は身勝手で酌量すべき事情はなく、適正な申告納税制度への社会的信頼に与えた影響も軽視できないと判示した。 ただ、事実を認めて修正申告を行って所得税を納付し、この事件を契機に学校法人関連の役職を全て辞していること、さらに前科がないことなどから、結果的に、執行猶予付きの懲役刑、罰金刑を課す判決内容となった。(2022.04.03.39東京地裁刑事第8部宣告令、令和3年特第2942号)
2022.11.07 16:01:38