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管理人室等は境内建物等に該当、固定資産税等は非課税と判示

 宗教法人が所有する土地建物の一部である管理人室、建物の課税供用部分及び土地の一部が固定資産税及び都市計画税の課税対象になるか否かの判断が争われた事件で東京地裁(清水知恵子裁判長)は、動産のうち課税部分は非課税規定の適用対象たる境内建物及び境内地に当たり、非課税とされるべきものであるから、固定資産税等を賦課した処分は違法であると判示、賦課処分の取消しを求めた宗教法人側の請求を認容した。

 この事件は、土地及び建物の所有者で宗教法人が、都税事務所長から不動産の一部(A建物の管理人室、B建物の共用部分の一部(課税共用部分)、C土地の一部(課税土地部分))について、固定資産税及び都市計画税の賦課決定処分を受けたことから、不動産のうち課税部分は非課税規定(地法348②三及び702の2②)の適用対象たる境内建物及び境内地に当たるため非課税である旨主張して、固定資産税等の賦課処分の取消しを求めて提訴したという事案である。

 都税事務所側は、1)建物におけるイベント等のための補助業務は管理人の業務とは認め難い、2)信徒が夜間に事前連絡なしに訪問することや緊急の連絡の頻度は少なく、管理人が夜間に建物への電話やメール等の対応を行う必要性が高いとはいえない、3)管理契約には清掃や見回りの頻度等が定められておらず、一般的な住宅における清掃や見回り等と異なるものではない、さらに4)管理契約における居住の条件ないし制限は一般の賃貸住宅と異なるものでないことからすれば、管理人室は管理人の私生活に供されているものにすぎない――などの理由から、管理人室を聖職者の起居する場所である庫裏や教職舎と同視することはできない旨主張して請求の棄却を求めた。

 判決はまず、管理人の業務は実際にイベント等補助業務を行うことを含むものと解するのが自然であると指摘するとともに、夜間においても管理人が信徒からの連絡を受けることにより、建物へのアクセスが充実したものとなることは否定できず、管理人を管理人室に起居させる必要性を根拠付ける理由の1つになるとも指摘。また、管理人が行う建物の見回り・点検、清掃は毎日実施しなければならないものである上、これらの業務の負担は軽いものとはいえないと認定した。

 さらに、管理人室が宗教法人の目的を達成するために必要性が認められるのは、管理人が聖職者と同視されるためではなく、宗教行事や組織活動を実施するための建物の活用状況及びその円滑な活用のために管理人が果たしている役割、自らの職業を持ちながら管理人の業務を行わなければならない特殊性等に鑑みたものであるから、都税事務所側の主張はその前提を欠くとして、その主張を悉く斥けた。

 結局、不動産のうちの管理人室、課税共用部分、課税土地部分は固定資産税の非課税規定の適用対象たる境内建物等に当たり、非課税とされるべきものであるから、これらに当たらないことを理由に課税部分に固定資産税等を賦課した処分は違法であり、取り消すべきものであると判示して、宗教法人側の請求を認容する判決を言い渡した。

(2021.09.21東京地裁判決、平成30年(行ウ)第453号)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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10月3日更新

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 宗教法人が所有する土地建物の一部である管理人室、建物の課税供用部分及び土地の一部が固定資産税及び都市計画税の課税対象になるか否かの判断が争われた事件で東京地裁(清水知恵子裁判長)は、動産のうち課税部分は非課税規定の適用対象たる境内建物及び境内地に当たり、非課税とされるべきものであるから、固定資産税等を賦課した処分は違法であると判示、賦課処分の取消しを求めた宗教法人側の請求を認容した。 この事件は、土地及び建物の所有者で宗教法人が、都税事務所長から不動産の一部(A建物の管理人室、B建物の共用部分の一部(課税共用部分)、C土地の一部(課税土地部分))について、固定資産税及び都市計画税の賦課決定処分を受けたことから、不動産のうち課税部分は非課税規定(地法348②三及び702の2②)の適用対象たる境内建物及び境内地に当たるため非課税である旨主張して、固定資産税等の賦課処分の取消しを求めて提訴したという事案である。 都税事務所側は、1)建物におけるイベント等のための補助業務は管理人の業務とは認め難い、2)信徒が夜間に事前連絡なしに訪問することや緊急の連絡の頻度は少なく、管理人が夜間に建物への電話やメール等の対応を行う必要性が高いとはいえない、3)管理契約には清掃や見回りの頻度等が定められておらず、一般的な住宅における清掃や見回り等と異なるものではない、さらに4)管理契約における居住の条件ないし制限は一般の賃貸住宅と異なるものでないことからすれば、管理人室は管理人の私生活に供されているものにすぎない――などの理由から、管理人室を聖職者の起居する場所である庫裏や教職舎と同視することはできない旨主張して請求の棄却を求めた。 判決はまず、管理人の業務は実際にイベント等補助業務を行うことを含むものと解するのが自然であると指摘するとともに、夜間においても管理人が信徒からの連絡を受けることにより、建物へのアクセスが充実したものとなることは否定できず、管理人を管理人室に起居させる必要性を根拠付ける理由の1つになるとも指摘。また、管理人が行う建物の見回り・点検、清掃は毎日実施しなければならないものである上、これらの業務の負担は軽いものとはいえないと認定した。 さらに、管理人室が宗教法人の目的を達成するために必要性が認められるのは、管理人が聖職者と同視されるためではなく、宗教行事や組織活動を実施するための建物の活用状況及びその円滑な活用のために管理人が果たしている役割、自らの職業を持ちながら管理人の業務を行わなければならない特殊性等に鑑みたものであるから、都税事務所側の主張はその前提を欠くとして、その主張を悉く斥けた。 結局、不動産のうちの管理人室、課税共用部分、課税土地部分は固定資産税の非課税規定の適用対象たる境内建物等に当たり、非課税とされるべきものであるから、これらに当たらないことを理由に課税部分に固定資産税等を賦課した処分は違法であり、取り消すべきものであると判示して、宗教法人側の請求を認容する判決を言い渡した。(2021.09.21東京地裁判決、平成30年(行ウ)第453号)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2022.08.29 16:33:28