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参院選の重大争点 問われる消費減税の是非 「年金カット」の茂木発言が炎上

 6月22日に公示された参院選では、消費税を巡る議論が繰り広げられている。野党7党は物価高対策として消費税率の引き下げや廃止を公約で主張する。これに対し、自民・公明両党は否定的な姿勢で、自民党の茂木敏充幹事長がテレビ番組や街頭演説で「消費税を引き下げると年金財源を3割カットしないといけない」と発言したことがSNSなどで波紋を広げている。
 少子高齢化に伴い現役世代の負担が拡大する社会保障費に対応するため、消費税の増税分を社会保障の財源に充てる「社会保障と税の一体改革」は、旧民主党政権時代に進められ、自民・公明両党との3党合意のもとで2012年に関連法案が成立した。自民党・安倍晋三政権時の19年10月に8%から現行の10%に引き上げられ、増収分は3~5歳の子どもの幼稚園や保育所費用の無償化、低所得世帯の子供の高等教育無償化、介護職員の処遇改善などに充てられた。
 ロシアのウクライナ侵攻に起因するエネルギー価格の高騰や急激に進む円安によって、物価高が市民の生活を逼迫させている。野党各党は、消費税の引き下げによって需要を喚起して対応するなどと訴える。これに対し、茂木幹事長は6月26日のNHK番組で、「消費税は社会保障の大切な財源。これを下げると、年金財源3割カットしないといけない」と発言。直後からSNS上で「脅しだ」などの意見が広がり〝炎上〟した。
 後藤茂之厚生労働大臣は、6月28日の閣議後記者会見で茂木氏の発言の妥当性を問われ、「消費税は年金をはじめとする社会保障の重要な財源。消費税の税率引き下げという仮定の質問にはお答えできない」と回答。経済系官庁関係者は「消費税は社会保障費に使うと国民に約束をした上で増税した。それを減らして、財源はどうするのか」と茂木氏の発言を援護した。重要な争点の1つとなっている消費税。7月10日の投開票日、結果はどう出るのか。

提供元:エヌピー通信社

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 6月22日に公示された参院選では、消費税を巡る議論が繰り広げられている。野党7党は物価高対策として消費税率の引き下げや廃止を公約で主張する。これに対し、自民・公明両党は否定的な姿勢で、自民党の茂木敏充幹事長がテレビ番組や街頭演説で「消費税を引き下げると年金財源を3割カットしないといけない」と発言したことがSNSなどで波紋を広げている。 少子高齢化に伴い現役世代の負担が拡大する社会保障費に対応するため、消費税の増税分を社会保障の財源に充てる「社会保障と税の一体改革」は、旧民主党政権時代に進められ、自民・公明両党との3党合意のもとで2012年に関連法案が成立した。自民党・安倍晋三政権時の19年10月に8%から現行の10%に引き上げられ、増収分は3~5歳の子どもの幼稚園や保育所費用の無償化、低所得世帯の子供の高等教育無償化、介護職員の処遇改善などに充てられた。 ロシアのウクライナ侵攻に起因するエネルギー価格の高騰や急激に進む円安によって、物価高が市民の生活を逼迫させている。野党各党は、消費税の引き下げによって需要を喚起して対応するなどと訴える。これに対し、茂木幹事長は6月26日のNHK番組で、「消費税は社会保障の大切な財源。これを下げると、年金財源3割カットしないといけない」と発言。直後からSNS上で「脅しだ」などの意見が広がり〝炎上〟した。 後藤茂之厚生労働大臣は、6月28日の閣議後記者会見で茂木氏の発言の妥当性を問われ、「消費税は年金をはじめとする社会保障の重要な財源。消費税の税率引き下げという仮定の質問にはお答えできない」と回答。経済系官庁関係者は「消費税は社会保障費に使うと国民に約束をした上で増税した。それを減らして、財源はどうするのか」と茂木氏の発言を援護した。重要な争点の1つとなっている消費税。7月10日の投開票日、結果はどう出るのか。提供元:エヌピー通信社
2022.06.30 16:11:32