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商業施設敷地等としての一体使用が合理的と判断、広大地を否定

 相続で取得した土地の評価を巡って広大地に該当するか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、商業施設の敷地等として一体で使用(又は潰れ地が発生しないように区分して使用)することが経済的に最も合理的であると認められることを理由に広大地には該当しないと判断、審査請求を斥けた。

 この事件は、相続開始に伴って複数の土地を取得した相続人(審査請求人)らが、相続税の申告後、相続によって取得した土地の一部は広大地に該当するという判断から相続税の更正の請求をしたのが発端になっているが、これに対して原処分庁が、請求人らが更正の請求をした土地は広大地に該当しないという判断から、更正をすべき理由がない旨の通知処分を行うとともに、更正処分等を併せて行ってきたため、請求人らが原処分の一部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 請求人側は、広大地通達に定められた「その地域」が、河川や丘などの自然状況や道路、公園などの土地の使用状況の連続性及び一体性などがおおむね同一と認められる一まとまりの地域とされていることから判断すると、各公道に囲まれた地域に該当するため広大地に該当するという主張を展開した。

 これに対して裁決はまず、請求人らが主張する広大地通達に定める「その地域」は、交通量の多い幹線道路沿いの地域とその道路沿いでない地域を一つの地域とし、また用途地域、建ぺい率及び容積率がいずれも異なる二つの地域を一つの地域としていることから、広大地通達の趣旨に照らして、ある特定の用途に供されることを中心とした一まとまりの地域と認めることはできないと解釈。

 そして、審判所が認定した「その地域」における宅地の標準的な使用である駐車場を備えた商業施設の敷地5画地の平均地積から考えると、その地域における「標準的な宅地の地積」と同程度であると認められるから、請求人らが相続した土地は広大地通達に定める標準的な地積に比して著しく地積が広大な土地とは認められず、同地域に存する土地の経済的に最も合理的な使用は、幹線道路沿いの駐車場を備えた商業施設(いわゆるロードサイド店舗)の敷地としての使用であると認められ、地積が大きく、駐車場を備えた商業施設の敷地として使用することが可能な土地であり、現に、相続前から駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用されていることからすると、経済的に最も合理的な使用は駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用することであり、潰れ地が生じない場合にも該当するから、いずれも広大地通達に定める広大地には該当しないとして請求人側の主張を斥けた。

 ただ、評価の際に適用した奥行価格補正率を誤っていたことを理由に、結果的には一部取消しという裁決内容になった。

(20.03.17 国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 相続で取得した土地の評価を巡って広大地に該当するか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、商業施設の敷地等として一体で使用(又は潰れ地が発生しないように区分して使用)することが経済的に最も合理的であると認められることを理由に広大地には該当しないと判断、審査請求を斥けた。 この事件は、相続開始に伴って複数の土地を取得した相続人(審査請求人)らが、相続税の申告後、相続によって取得した土地の一部は広大地に該当するという判断から相続税の更正の請求をしたのが発端になっているが、これに対して原処分庁が、請求人らが更正の請求をした土地は広大地に該当しないという判断から、更正をすべき理由がない旨の通知処分を行うとともに、更正処分等を併せて行ってきたため、請求人らが原処分の一部取消しを求めて審査請求したという事案である。 請求人側は、広大地通達に定められた「その地域」が、河川や丘などの自然状況や道路、公園などの土地の使用状況の連続性及び一体性などがおおむね同一と認められる一まとまりの地域とされていることから判断すると、各公道に囲まれた地域に該当するため広大地に該当するという主張を展開した。 これに対して裁決はまず、請求人らが主張する広大地通達に定める「その地域」は、交通量の多い幹線道路沿いの地域とその道路沿いでない地域を一つの地域とし、また用途地域、建ぺい率及び容積率がいずれも異なる二つの地域を一つの地域としていることから、広大地通達の趣旨に照らして、ある特定の用途に供されることを中心とした一まとまりの地域と認めることはできないと解釈。 そして、審判所が認定した「その地域」における宅地の標準的な使用である駐車場を備えた商業施設の敷地5画地の平均地積から考えると、その地域における「標準的な宅地の地積」と同程度であると認められるから、請求人らが相続した土地は広大地通達に定める標準的な地積に比して著しく地積が広大な土地とは認められず、同地域に存する土地の経済的に最も合理的な使用は、幹線道路沿いの駐車場を備えた商業施設(いわゆるロードサイド店舗)の敷地としての使用であると認められ、地積が大きく、駐車場を備えた商業施設の敷地として使用することが可能な土地であり、現に、相続前から駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用されていることからすると、経済的に最も合理的な使用は駐車場を備えた商業施設の敷地として一体で使用することであり、潰れ地が生じない場合にも該当するから、いずれも広大地通達に定める広大地には該当しないとして請求人側の主張を斥けた。 ただ、評価の際に適用した奥行価格補正率を誤っていたことを理由に、結果的には一部取消しという裁決内容になった。(20.03.17 国税不服審判所裁決)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2020.12.21 16:32:54