2021年度税制改正 電子帳簿保存法の要件緩和へ
2021年度与党税制改正大綱が12月10日にまとまった。土地にかかる固定資産税の据え置きなど、新型コロナウイルス感染拡大による担税力の落ち込みを考慮し、納税者の負担が増えないよう配慮するメニューが並んだ。
今年は固定資産税、エコカー減税、住宅ローン減税の特例が更新時期にあたり主要課題となったが、議論はスムーズに進んだ。
赤字でも納税義務が生じる固定資産税は3年に1度の評価替えで、コロナ禍前の地価上昇が反映される恐れがあり、負担軽減の声が強かった。総務省は税収減をおそれ、商業地に対象を絞る方針だったが、菅首相や公明党の要求を受け入れ、住宅地も含むすべての土地を対象に税額を据え置くことになった。
エコカー減税は旧燃費基準から新燃費基準への移行が検討課題だったが、減免の対象車種は新旧でほぼ同じ規模を維持することで早々に決着。住宅ローン減税は面積要件を50平方メートルから40平方メートルへ緩和して対象を拡充した。
一方、今年の税制改正で最後まで揉めたのが電子帳簿保存法の要件緩和だった。
デジタル化の推進を受け、財務省は訂正履歴が残らない会計ソフトによる帳簿(一般電子帳簿)についても一定の要件を満たせば紙による保存が不要とする見直し案をまとめたが、税理士や会計士に近い与党議員が「改ざんの恐れがある一般電子帳簿の普及を認めるべきではない」と反発。自民党の甘利明税調会長は「電子帳簿導入の敷居を下げて電子化を広げていくことが最優先」と譲らず、反対派議員に激怒する場面もあった。
結局、財務省案を維持した上で、大綱に「優良な電子帳簿の普及を促進するための更なる措置」について「早期に検討し、結論を得る」と明記することで決着した。
提供元:エヌピー通信社