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従業員の仮装行為は法人の行為と同視できないとして全部取消し

 従業員が架空の請求書を作成して法人に交付した一連の行為が、法人の行為と同視することができるか否かつまり法人による「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する行為に当たるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、従業員の行為は仮装行為に該当し、従業員の管理・監督が十分ではなかったと認定したものの、従業員の地位・権限や行為態様等からは法人の行為とは同視できないと判断、原処分の全部を取り消した。

 この事件は、建物の総合管理の請負を業とする法人が損金に算入した外注費のうち、下請業者への工事発注業務等を担当していた従業員が親族名義の口座に振り込ませた金員を、原処分庁が架空外注費と認定するとともに、その従業員による行為は法人による隠ぺい又は仮装に該当すると認定した上で、法人税、地方法人税及び消費税等に係る重加算税の賦課決定処分をしてきたのが発端となった。

 これに対して法人側が、従業員による行為は法人による隠ぺい又は仮装に該当しないなどと主張して、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 原処分庁側は、従業員が行った金員の詐取を目的とした仮装行為に関して、従業員の業務に関連する行為は法人の活動領域内の行為として自己の行為の一部分と見ることができることから、従業員の行為が法人の行為と同視できないと言えるような特段の事情がない限りは、法人側に「隠ぺいし、又は仮装し」(通則法68①)に該当する事実がある旨主張して、審査請求の棄却を求めた。

 裁決は、1)従業員は経営参画や経理業務に関与することのない一使用人であり、2)仮装行為は業務の一環として行われたものではなく、私的費用に充てるための金員を詐取するために独断で行ったものであると認定。一方、3)法人側には、一定の管理体制が整えられていたものの、仮装行為のような詐取行為を防止するという点では、管理・監督が十分であったとは認められないとも指摘した。

 しかし、職制上の重要な地位に従事せず、限られた権限のみを有する一使用人が、独断で法人の金員を詐取したという事件の事情に鑑みれば、従業員に対する請求人の管理・監督が十分ではなく、仮装行為を発覚できなかったことをもって、その仮装行為を法人の行為と同視することは相当ではないことから、従業員による仮装行為を法人の行為と同視することはできないと判断するのが相当であり、「隠ぺいし、又は仮装し」に該当する事実があるとは認められないという判断を示して、重加算税の賦課決定処分の全部を取り消した。

(2019.10.04 国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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9月1日更新

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2020.09.14 16:00:51