泉佐野市vs総務省 ふるさと納税バトルの行方 30日に最高裁で判決
ふるさと納税の対象自治体認定を巡り、総務省と大阪府泉佐野市が繰り広げてきたバトルの結末が見えてきた。対象から除外した処分を取り消すよう市が総務相に求めた行政訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷が2日、双方の意見を聞く弁論を開いた。市の請求を退けた1月の大阪高裁判決を見直すための手続きとみられる。30日の判決では、総務省は制度の抜け穴を放置したミスを指摘されて赤っ恥をかくことになりそうだ。
泉佐野市は、地場産と関係がない返礼品に加えてアマゾンのギフト券をつけ、2018年度に全国の1割弱に上る497億円の寄付を集めた。返礼品の高額化競争が激しくなったこともあり、総務省は「助言」という形式で抑制を求めたが、市は無視を続けた。他の自治体で不満が高まり、堪忍袋の緒が切れた総務省は19年6月に「返礼品は寄付額の3割以下の地場産品」と規定。新たなルールを過去半年間の実績と照合し、泉佐野市など4自治体を指定しなかった。
千代松大耕市長は2日の弁論で、総務省が制度から除外した決定を「地方自治体への違法な関与。失政の責任を自治体に押し付けている」と批判。代理人弁護士も「新ルールに従う意向なのに、過去の募集態様を理由に排除するのは裁量権の乱用」と指摘した。国側は「他の自治体への影響を顧みず、過度な返礼品を提供して極端に多額の寄付を集め、法改正をせざるを得なくなった」と反論した。
千代松市長は多額の寄付収入を理由に、特別交付税を大幅に減らした総務省の対応にも触れた。「自分たちの言うことを聞かなければ、ふるさと納税制度に参加させない、交付税を減らすという姿勢は、中央と地方が主従的関係だった前時代的なものから変わっていない」として、特別交付税減額についても取り消しを求める訴訟を起こす考えを示した。
提供元:エヌピー通信社