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帳簿等の提示に応じがたい合理的理由はないと判示、棄却

 消費税の仕入税額控除が認められるのは帳簿等の保存が前提になるが、この帳簿等の不提示が消費税法上の帳簿等を保存しない場合に当たるか否かの判断が争われた事件で東京地裁(清水知恵子裁判長)は、事実関係を踏まえ、帳簿等の検査の際、適時に帳簿等を提示することが可能なように態勢を整えて保存していたとは言えず、帳簿等を保存しない場合に該当することから、仕入税額控除の適用を受けることができないと判断するとともに、更正処分にも理由提示の違反等があるとは言えないと判示して、棄却した。

 この事件は、国税局の職員から税務調査を受けた際に、納税者側が消費税法30条1項に定める課税期間の課税仕入れ等の税額の控除いわゆる仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等を提示しなかったことから、原処分庁が帳簿等を保存しない場合に該当することを理由に、その課税期間に係る仕入税額控除を否認、消費税等の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、納税者側がその取消しを求めて提訴したという事案である。

 納税者側は、調査担当者による帳簿等の求めは違法と主張。つまり、調査担当者が仕入税額控除の否認の仕組みを教示すべき実務慣行等に反してその仕組みの説明をせず、仕入税額控除の否認によって極めて多額の課税処分を受ける旨の認識を欠いていることを知りつつ、かかる認識の欠如に対する実効性の伴わない形式的な提示の求めを繰り返したなどという主張を展開して、原処分の取消しを求めたわけだ。

 判決はまず、事実認定の上、調査担当者による長期間にわたる帳簿等の提示の求めに対して、納税者側に提示に応じ難いとする合理的理由はなかったにもかかわらず、帳簿等の提示を拒み続けたものと認めるほかないと認定。その上で、税務職員による帳簿等の検査に当たって適時にこれを提示することが可能なように態勢を整えて保存していたということはできず、消費税法30条7項が定める「事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合」に当たると判断して、納税者側の請求を斥けた。

 そもそも、税務調査の際に、仕入税額控除の否認の仕組みを教示すべきことを定める法令の規定はなく、その教示を欠く帳簿等の提示の求めが違法となる根拠はないとも指摘。さらに、調査の際に帳簿の提示の求めに応じることは、申告納税を行う者の当然の義務であり、検査を拒んだ場合に被る税務上の不利益を告知されるか否かにかかわらず、事業者は検査に応じるべきことになると指摘して、納税者側の主張を一蹴した。

                 (2019.11.21東京地裁判決、平成29年(行コ)第179号)


提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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2月19日更新

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2019.12.09 16:28:40