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納税猶予されている特例農地等の転用・交換を譲渡と認定、棄却

 農業相続人とその兄弟が父親の農地を相続して共有後、相続税の納税が猶予されていた農地を農業相続人が共有物分割をして納税猶予の対象とされていた共有持分の一部を兄弟に移転させ、兄弟の共有持分の一部を農業相続人に移転させた共有持分の移転行為が、相続税の納税猶予期限の確定事由である「譲渡等」に該当するか否かの判断が争われた事件で札幌地裁(武部知子裁判長)は、譲渡等に該当すると判断して不当利得返還請求を棄却した。

 この事件は、父親である被相続人所有の農地を相続して相続税の納税を猶予されていた農業相続人が、その一部を転用しあるいは交換に供したことが、納税猶予期限の確定事由である「譲渡等」に該当すると判断された結果、被相続人の相続に係る相続税本税、利子税及び延滞税の納付を求められ、これを納付したのがそもそもの発端となった。

 そこで農業相続人が、土地の一部転用あるいは交換は「譲渡等」に該当せず、原処分庁が主位的には法律上の原因なく相続税等を利得し、予備的にはこれによって誤納金が発生したとして、不当利得返還請求権、還付金等請求権に基づく損害賠償金及び還付加算金の支払いを求める一方、原処分庁側の「譲渡等」に関する解釈が違法であったと主張して国家賠償請求権に基づく賠償金額及び遅延損害金の支払いを求めて提訴したという事案である。

 つまり、転用及び交換が譲渡等に該当すれば、適法な徴収権に基づいて相続税が徴収されているものの、既に納付済みの相続税等(平成26年と15年)の差額分は、相続税の納税猶予期限から5年経過後に納付されたもので、差額分に係る徴収権が時効消滅しているため、継続届出書の提出が債務の承認として、相続税の徴収権の消滅時効が中断するか、消滅時効の中断の主張が信義則に違反するかが争点となった事案だが、その場合、国家賠償請求は違法かつ過失に基づく徴収行為はなかったことになるわけだ。

 判決は事実認定の上、牛舎等の施設の所有者は実質的にも農業相続人の子であり、農業相続人はその子に対し、施設に係る敷地部分である農地の一部に使用貸借権を設定した以上、宅地期待益の実現があったか否かを問題とするまでもなく、転用が譲渡等に該当することは明らかであると判示。また、交換についても、特例農地等に該当しない農地を取得したとしても、特例農地等の所有権の第三者への移転行為は特例農地等を減少させるものであり、特例農地等の譲渡に当たると解するのが文理解釈にもかなうと判示して、農業相続人側の請求を斥けた。

(2019.03.27札幌地裁判決、平成28年(行ウ)第31号)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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2019.09.09 15:22:53