持分超過部分の有無の判断は評価基準の決定価格と判示して棄却
土地の共有者が共有分割によってその土地の他の共有者の共有持分を取得したことに対して不動産取得税が賦課された事件で、持分超過部分の有無の判断基準を地方税法73条の21によって決定される価格とすることの可否が争われた事件で大阪地裁(三輪方大裁判長)は、評価基準によって決定される価格が適正な時価と一致しないことをもって持分超過部分の有無の判断基準となる不動産の価格を地方税法73条の21により決定される価格ではないということはできないと判示して、納税者側の訴えを棄却する判決を言い渡した。
この事件は、土地の共有者が共有分割によって同じ土地の共有者の持分を取得したところ、府税事務所長から不動産取得税の賦課決定処分を受けたため、その取消しを求めて提訴した事案であるが、地方税法73条の7第2号の3は、共有物の分割による不動産の取得については、その不動産の分割前の共有物に係る持分の割合を超える部分(持分超過部分)の取得を除き、不動産取得税を課することができない旨を定めている。
また、同法73条の21は、固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産はその価格により不動産取得税の課税標準となる価格を決定すると定め、登録されていない不動産は固定資産評価基準(評価基準)によって不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定すると定めている。
そこで府税事務所側では、取得時に固定資産課税台帳に登録されていない不動産であったため、評価基準に基づいて土地の価格を決定し、取得には非課税規定の持分超過部分があると判断して不動産取得税の賦課決定処分をしてきたわけだが、納税者側は、不動産の適正な時価は評価基準によって決定される価格と必ずしも一致するものではなく、持分超過部分の有無の判断基準となる不動産の価格を同法73条の21によって決定される価格とすることはできないと言うべきであると主張して、その取消しを求めたという事案である。
判決はまず、不動産取得税は流通税に属し、不動産の移転の事実自体から担税力の存在を推定して課税するものであり、不動産の取得とは所有権移転の形式によって不動産を取得する場合の全ての場合をいうと解釈。その上で、持分超過部分の有無は不動産取得税の課税標準となる価格を基準に判断すべきであり、その価格は同法73条の21第1項の場合は、固定資産課税台帳に登録された価格であり、同条2項の場合は評価基準によって決定される価格であると解するのが相当であると判示して、納税者側の請求を棄却している。
(2018.01.24大阪地裁判決、平成28年(行ウ)第218号)
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