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試算表の作成に仮装・隠ぺいの行為は認められないと判断

 収入金額の一部を計上しない試算表の作成に、隠ぺい・仮装と認めるべき行為があったか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、原処分調査までの状況を確認した結果では、独自業務に係る収入金額を申告しないという意図を有していたり、所得金額が生じない状況を意図的に作出したということは認められないことから、試算表の作成に隠ぺい・仮装の行為は認められないと判断、原処分を一部取り消した。

 この事件は、建築設計業及び風俗営業等を営む審査請求人が、国税局の調査後、所得税及び消費税等の期限後申告書を提出したところ、税務署長が所得税及び消費税等が無申告だったのは課税要件事実を隠ぺいし又は仮装したところに基づくものであると認定した上で、重加算税の賦課決定処分をしてきたのが発端。そこで請求人側が、無申告加算税額を超える部分に相当する額の取消しを求めて、審査請求したという事案である。

 原処分庁側は、建築設計業務のほか風俗業を営むことで多額の利益が生じていることを認識しつつも、風俗業を行っていた複数の店舗のうち一部の店舗に係る業務(独自業務)に関する収入金額を除く一方で必要経費の一部を加えた試算表を作成していることについて、試算表は独自業務に係る収入金額を除外するとともに、独自業務以外の業務において損失が生じているという虚偽の内容を記載することで所得が生じていない状況を意図的に作出し、確定申告義務がないことの説明資料として作成されたものである指摘するとともに、独自業務に基因する事業所得の金額を隠ぺいして確定申告書を提出しなかったものと認められることから原処分は妥当である旨主張した。

 裁決は、試算表は顧問契約の締結を検討していた税理士法人によって作成されたものであるが、請求人は独自業務に係る売上げを記帳した手帳の提示等をせずに、税理士法人に試算表を作成させたと認められると指摘。

 しかしながら、その後、請求人の原処分調査までの間、原処分調査の際の対応を考慮すると、独自業務に係る収入金額を申告しないという意図を有していたとか、所得金額が生じない状況を意図的に作出したものとは認められないことから、試算表の作成は、請求人による隠ぺい・仮装と評価すべき行為に該当するものとは認められず、また全証拠を検討しても、隠ぺい・仮装と評価すべき行為は見当たらないという判断から原処分庁側の主張を斥け、その一部を取り消している。

                    (2017.05.29国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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6月12日更新

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2018.07.05 18:27:04